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のぞいてみよう!施工中現場紹介 〜第3回 埼玉県さいたま市編

マンション 大規模修繕
現在建装工業が施工しているマンションの工事現場の様子についてリポートしていくシリーズです。
今まさに大規模修繕工事まっただ中のマンションにお住まいの方はもちろんのこと、マンションという、いつかは必ず大規模修繕工事を迎える集合住宅にお住まいの皆様に、ためになる情報を分かりやすくお伝えしていきます。

こんな人におすすめ
● 大規模修繕工事を計画しているマンションにお住まいの方に
● 大規模修繕工事まっただ中のマンションにお住まいの方に
● マンション改修業界で働きたいとお考えの方に

目次
1. 今回の工事現場 基本情報
2. 今回の工事の特徴
3. 今回の工事で工夫している点
4. 今回の工事で苦労している点
5. 工事竣工までの意気込み

1. 今回の工事現場 基本情報

マンション名 Rマンション ※マンション名は伏せています
所在地 埼玉県さいたま市
竣工年 2008年(築12年)※2020年時点
建物規模 1棟 地上10階建て 136戸
RC造+PCa造
(鉄筋コンクリート造+一部プレキャストコンクリート造)
工期 2020年1月〜2020年7月(6ヶ月)※予定
発注方式 設計監理方式
取材日 2020年6月22日
話を聞いた人 現場所長 K.Yさん

2. 今回の工事の特徴を教えてください。

今回はじめての大規模修繕工事を迎えるマンションです。
工事の内容で、足場を組立て調査した結果により施工数量を決定する工事項目(「実数精算」と言います)が多かったことです。外壁のタイルが剥がれてきたり割れたりしている部分を補修する工事も、この実数精算項目にあたります。このマンションは、手すり壁がプレキャストコンクリートでできているので、コンクリート製品の成形からタイル張りまで工場で行ってからこの場所に持って来られています。
一般的には、現場でタイルを張るよりも天候の影響を受けないですし、施工品質も均一化しやすいので、補修を必要とするタイルはあまりありませんでした。居住者のみなさんにとっては安心できた要素の一つですね。
マンション 大規模修繕
その他には、エントランス壁面の改修に『3M™ダイノック™フィルム Dボード』を採用したことです。今回は石のように見えるフィルムを採用し、これを工場で不燃板にラミネート加工してから、壁面に取り付ける工法です。
エントランスの工事だったので、管理事務所や集合ポストがある場所です。あまり通行制限期間を長くしてしまうと、居住者の皆さんにとって不便になってしまいます。
下地の処理は少し必要ですが、大部分は工場で作られてきた材料を壁に取り付ける作業なので、施工期間を短くすることができます。
本物の石を張るよりは低価格でできるので、お値段を少し押さえながらも高級感があります。居住者の皆さんにも好評です。

3. 今回の工事で工夫している点は何かありますか。

マンション 大規模修繕

左:作業員用の通用口 右:居住者が普段から利用するオートロックドア(開いています)

敷地形状が長方形で、その短辺の2つのうち1つだけが接道するという立地でした。その他の三方は全て戸建て住宅に隣接していて搬入経路が限られていたので、大きな資材の搬入経路や作業員の動線を工夫しました。

足場の資材を奥まで運ぶのが大変なので、駐車場2台分を資材置き場としてお借りしました。足場の種類も、敷地奥の建物には資材がかさ張りにくいくさび緊結式足場を採用しました。作業員動線は、オートロックエリア内を囲むフェンスの一部に、作業員専用の扉を付けることで確保しました。
管理組合さんと協議しながら位置を決めて、扉もナンバー式のオートロック扉にしました。居住者の方の動線とも分離できたので、接触もなくスムーズに工事を進めることができました。

4. 今回の工事で苦労している点はありますか。

マンション 大規模修繕

ベランダの鳩による被害状況

最も大きかったのは、鳩の被害が複数の住戸であり、当初はベランダ全面に鳩除けネットを取り付ける予定としていましたが、これが取りやめになったことです。このマンションはオール電化なので、ベランダに大きな貯湯槽があります。
背が高く天井との距離が近いので、そのすき間や背面に鳩が巣を作ってしまったお部屋がありました。その付近を中心として確かに鳩による被害はあったのですが、全戸に被害があるわけではなかったので、マンション管理組合の総会で全面鳩除けネット取り付けが否決されてしまったんです。
最終的に、希望したお部屋にだけ鳩除けネットを取り付けることとなりました。費用は取り付けを希望した住戸の負担となりました。集合住宅ですので、こういったところが難しいですね。

その他には、ちょうど工期中に新型コロナウイルスの流行の波が来たことです。
管理組合さんと協議の結果、工事は中断させずに続行することとなりましたが、感染拡大を防止するための対策が必要でした。
作業員全員の体温を毎朝測ったり、人数が多い時には朝礼を複数回に分けて行ったりしました。朝礼は、もともと作業員が作業に適した服装をしているか確認する場でもありますが、その時にマスクの着用も確認するようにしました。

5. 工事竣工までの意気込みを聞かせてください。

もう工期も終盤なので、いま残っている外構の工事をきちんと終えたいです。梅雨の季節ということもあり、なかなか作業ができない日もありますが、天候を見ながら慎重かつ確実に作業を終えたいですね。

最終的に管理組合さんに提出する工事の書類もまとめているところです。現場事務所内のメンバー同士で協力しながら、十数年後の2回目の大規模修繕工事の時にも使えるよう、今回の工事の記録を残していきます。

《この記事のライター》
大塚 麻里絵
建装工業株式会社 MR業務推進部所属
埼玉県出身 東京理科大学理工学部建築学科卒業
一級建築士・一級建築施工管理技士を有し、大規模修繕工事現場にも従事した経験のある女性技術者・ライター

(2020年8月24日記事更新)

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