マンションセキュリティーは大丈夫？マンション管理組合が注意したい大規模修繕時の対策|KENSOマガジン

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マンションセキュリティーは大丈夫？マンション管理組合が注意したい大規模修繕時の対策

目次
1. 大規模修繕時のマンションセキュリティーって？
2. 大規模修繕時の防犯対策には、どんなものがある？
3. 住民の防犯意識も大切

1. 大規模修繕時のマンションセキュリティーって？

大規模修繕工事は、どのマンションにとっても重要なイベント。マンション管理組合が中心となって行うものですが、工事そのものをスムーズに進めるのはもちろん、他にも配慮しなければならないことがあります。それは、マンションセキュリティーの問題です。

大規模修繕工事を行うには、建物全体を取り囲むように足場を設置する必要があり、また、この足場を養生ネットで覆います。そのため、第3者に足場を登られてしまうと、窓から各住戸内に侵入されやすく、外から人の目にもつきにくいことから、侵入や窃盗犯罪のリスクが高まります。そこで、通常、大規模修繕工事を請け負う工事会社では、工事とセットでこうした犯罪への対策も用意しています。

その対策にはどのようなものがあるか、またマンション管理組合として気をつけたいポイントについてお知らせします。

2. 大規模修繕時の防犯対策には、どんなものがある？

マンションの大規模修繕時の侵入犯や窃盗犯を防ぐためには、次のような対策があります。

1）住人への補助錠の配布
大規模修繕工事中は、廊下や階段に面した窓の面格子を外すことがあります。足場に面する窓に加え、こうした窓からも侵入の恐れが生じるため、住人に補助錠を配布し、各住戸の窓に室内側から設置してもらいます。

2）工事関係者の判別
工事現場では作業員に共通のヘルメットや腕章などを着用させる施工会社が多いのですが、これだけでは近距離でないと第三者や不審者との区別がむずかしいものです。これにプラスして目立つ色のゼッケンやベストの着用を義務付けている会社もあります。

3）仮設の防犯ドア
足場や仮囲い（仮のフェンス）を設置する場合、多くの工事会社は関係者しか現場に入れないよう、オートロックなどの防犯対策を施したドアを採用しています。

4）透過メッシュシート
透過性の高い養生ネットです。外から養生ネット内部が見えるため、防犯対策になります。また、マンションの中から外を見たときの圧迫感も軽減され、居住者にとってもメリットがあります。

5）センサーライト
人感センサーにより、人が近づくと点灯するライトです。工事をしない夜間、真っ暗になる足場周辺に設置することで侵入を抑止します。

6）金網による養生
1階の足場部分を取り囲むように金網を設置し、侵入を防ぎます。

7）ネットワークカメラ
足場など工事現場の要所要所に取りつけ、インターネット経由で現場事務所などのパソコンなどにつなぎ、離れた場所からでも、随時、異常がないか監視することができます。

8）侵入警報システム
足場全体をカバーする防犯システムです。足場にセンサーを設置し、全ての作業員が発信器を身につけます。発信器のない人がセンサー付近を通れば警告音が鳴り、現場事務所などのパソコンなどに通報されます。

9）警備員の配備、巡回
警備会社と提携し、現場やその周辺に警備員を配備、また巡回させます。特に日曜祝日や連休中など、工事が休みになる期間に検討したい方法です。

3. 住民の防犯意識も大切

実際の大規模修繕工事のときには、以上のような対策をいくつか組み合わせて実施することになるかと思います。とはいえ、これらの中でも、特に7）から9）の方法は費用が高額になります。一方、1）や2）は、さほど費用もかかりませんし、防犯の基本ともいえることなので、必ず行いたいですね。このように、マンション管理組合としては、工事そのものにかかる費用との兼ね合いを含め、工事の期間や規模、近隣の環境などに応じて、どの対策を採用するのか工事会社とよく相談して決めたいところです。

また、大規模修繕工事中は足場の設置に加え、一定期間オートロックを解除することもあります。そのため、住民による防犯対策も必要になります。次のような基本的な対策を住民全体に周知しておきましょう。

・玄関ドアはつねに施錠しておく
・留守中や就寝中、窓は補助錠を含め必ず施錠する
・留守中は在宅を装うために部屋の照明をつけておく

マンションは本来防犯性の高い住居です。玄関扉と廊下に面した窓のみ施錠して外出される方もいらっしゃいます。しかし、大規模修繕工事中はこういった普段通りの施錠ではセキュリティーを確保することが出来ないので、マンション管理組合としてもあらためてマンションセキュリティーを意識することが大切です。

《この記事のライター》
大塚麻里絵
埼玉県出身　東京理科大学理工学部建築学科卒業
一級建築施工管理技士を有し、大規模修繕工事現場にも従事した経験のある女性技術者・ライター

（2019年1月7日記事更新）