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マンションセキュリティ、防犯は大丈夫? 最上階も狙われる?

マンション防犯

1. マンションのセキュリティ神話はホント?

オートロックなどが整備されていることの多いマンションは戸建住宅よりも防犯性が高いと思われがちです。だからと言って、必ずしも侵入や窃盗の被害に遭わないとは言えません。「高層階に住んでいるから、オートロックだから、大丈夫」そう思っていては大間違いなのです。

実際に警察庁の犯罪統計データを見ると、2017年に全国で発生した住宅への侵入窃盗犯罪の件数は約4万2000件でした。この内のおよそ3万件が戸建住宅ですが、マンションなどの共同住宅への侵入は約1万2000件で、全体の3割近くを占めています。住宅件数だけで全国の比率を見ると、戸建住宅が約6割に対し共同住宅は約4割となっており、共同住宅の被害が圧倒的に少ないとは言い切れません。

では、どのようにしてマンションへの侵入被害が起きているのでしょう?
警察庁の調べによると、共同住宅への侵入手段で最も多いのが、施錠をしない「無締まり」、次いで「ガラス破り」や「合かぎ」となっています。また、侵入口のほとんどが窓か玄関です。

2. 狙われやすい家の共通点とは

このようなデータから侵入犯の手口が見えてきますが、侵入被害にあったマンションには、駅から比較的近く新しめで4階までの低層や、小規模で管理人がいないといった共通点があります。加えて、次のような条件のお宅では特に防犯を強化することが必要です。

・低層階(1階・2階)、最上階
上記の警察庁のデータからも、1階・2階は玄関や窓からの侵入がしやすいことが見てとれます。その一方で、最上階の世帯も高所得者が多いといったイメージから狙われやすく、非常階段から一度屋上に上がりロープなどをつたってベランダから侵入される可能性があります。

・同じマンション内の住人同士が互いに顔を知らない
新しいマンションなどで住人同士の交流が少ない場合は、建物内にいる不審者と隣人との区別がつきにくいものです。このようなケースでは、マンションセキュリティの要と言われているオートロックがあっても、住人のあとについて入るなどの単純な方法で侵入されても気づかれにくいと言えます。

・見通しが良くない
侵入口となりやすい玄関が外から見えにくい構造になっていたり、窓やベランダ付近に植栽など目隠しになるものがあると、人目に付かずに犯行をする手助けとなってしまいかねません。
マンション防犯

3. マンションの防犯を強化するために心掛けておきたいこと

以上のことから、単純に、最上階だから、オートロックがあるから、大丈夫とは限らないことが分かりました。マンション防犯の基本は、各戸の玄関・窓・ベランダを守ることが重要であると言えます。その対策として次のようなものがあります。

・外出の時は短時間でも必ず鍵を掛けポストなどに鍵を隠さない。
・中古のマンションを購入した場合や賃貸などは鍵の交換を依頼する。
・玄関ドアが古いタイプの鍵を使っている場合はピッキングされにくい鍵に交換する。
・玄関ドアに補助錠を付け(ワンドアツーロック)、窓ガラスには防犯フィルムを貼るか振動センサーを取り付ける。
・専用庭やベランダに侵入犯が身を隠せるような物を置かない。
・あいさつをするなど、住民同士の顔が分かるようにする。
・アプローチやエクステリアの植栽を剪定し、死角となる部分にはセンサーライトや防犯カメラを設置する。
・スマートホンと連動した人感センサーを備えたWEBカメラなどを設置する。
・旅行などで長期不在にする時は新聞等を停止するか、知人に郵便を回収してもらう。
・照明には防犯対策にランダム点灯・消灯する機能があるものがあるので利用する。

この内、玄関ドアや窓の外側は共用部になるため、管理規約を確認した上で工事の必要がないタイプの補助錠を取り付けるなど、問題のない範囲で防犯対策を行いましょう。

また、アプローチやエクステリアは共用部になるため、植栽の剪定や防犯機器の設置には管理組合の承認が必要になります。しかし、防犯は最も重要な事項です。日ごろから住民同士でのコミュニケーションをとり、合意を得やすいようにしておくことも大切です。

近年はリフォームで空き巣が狙いにくくなる家にする防犯リフォームを行っている企業も増えていますので、専門家に相談するのも良いかもしれません。

4. 一人ひとりが防犯意識を高く持つことが重要

マンション全体で防犯性を高めると言っても、それなりに費用が掛かります。自治体によっては、分譲マンションの管理組合に向け、共用部に防犯カメラなどの防犯機器を設置するための費用を助成しているケースもあります。このような公的補助を上手に活用してマンション防犯を強化したいですね。そのためには、管理組合としては最新の防犯トレンドに敏感でありたいですし、地元の警察や役所とも連携を取っていきましょう。

また、侵入の最も多い手段が「無締まり」であることから、ちょっとした油断が犯罪を招くことが分かります。どれだけ最新鋭のマンションセキュリティを備えていても、例えば、オートロックだから短時間の外出では施錠しないなど、設備に頼るあまり気がゆるくなっていては意味がありません。住民一人ひとりが日ごろから防犯意識を高く持つことが何よりも大切です。


《この記事のライター》
大塚 麻里絵
埼玉県出身 東京理科大学理工学部建築学科卒業
一級建築施工管理技士を有し、大規模修繕工事現場にも従事した経験のある女性技術者・ライター

(2018年10月15日記事更新)

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