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マンション管理組合の役員って何をするの? マンションの資産価値を維持しよう(改定版)

マンション 役員

1. マンションを購入したら、いつかは役員に?

分譲マンションを購入して区分所有者になったら、誰でもいつかはマンション管理組合の役員に選ばれる可能性があります。分譲マンションの共用部分は住民みんなの共有財産であるため、その管理は区分所有者とその他の住民が全員で行うものとされています。マンションの資産価値と住宅としての性能を良好に維持していくには、共用部分のしっかりとした管理が欠かせません。このマンション管理をしっかりスムーズに行えるように調整や手配をすることが管理組合の役員に求められます。
そうはいっても、マンション管理組合やその役員の具体的な役割について、ピンとこない人も多いかもしれません。そこで、マンション管理組合の役員の仕事とはどのようなものか知っておきましょう。また、マンションや管理組合に関する用語についても説明します。

2. マンション管理組合の理事会とは、どんな組織?

マンション管理組合の役員は「理事」とも呼ばれます。それは、管理組合の理事会を構成するメンバーだからです。つまり、実質的には役員が理事会を動かしていくのですが、ここで、マンション管理組合の理事会について説明しておきましょう。
マンション管理組合はすべての区分所有者によって構成されます。つまり、マンションを購入すると自動的に管理組合に加入し、マンション管理の主体者になります。
とはいえ、管理などに関するすべてについて、つねに所有者全員が集まり話し合いをするのは現実的にはむずかしいものです。そこで、管理組合員の中から数人の代表者を選んで理事会を結成し、この理事会での話し合いを通し共用部分の維持管理や管理組合の運営を行います。例えば、共用部の清掃などは管理会社が行うのが一般的ですが、これは管理会社がマンション管理組合からの委託業務として行っているものです。委託する業務内容の検討や見積金額の確認など、実質的な細かい業務は理事会が行います。

3. マンション管理組合理事会の構成と役職

理事会の人数はそれぞれのマンションの規約によって違いますが、一般的に次のような役割を持つ役職により構成されます。

・理事長:管理組合を代表し、区分所有法による「管理者」にあたる
・副理事長:理事長を補佐し、理事長の不在時にはその代行をする
・監事:マンション管理の内容や管理組合の財務状況をチェックする
・理事:会計や防災など、それぞれの管理組合に応じて必要な業務を行う。担当業務別に複数人選出されるのが一般的

これらのほかに、理事(役員)の役割は必要に応じて決めることができます。

4. マンション管理組合役員の仕事とは

マンション管理組合 役員

こうした理事会のメンバー(役員)は具体的にはどのような活動をするのでしょうか。役員が行うべき活動には次のようなものがあります。

・理事会への出席
役員(理事)は月1回程度の理事会に出席する義務があります。そこでは、管理会社からの月ごとの管理費や修繕積立金の会計報告を受けたり、以下のような項目について話し合ったりします。

・管理会社とのやり取り
管理会社への業務委託や管理会社からの業務報告のチェック、契約手続きなど、管理組合の窓口として調整や折衝を行います。

・住民からの意見・苦情の対応
集合住宅の生活の中で発生する住民からのクレームや住民間のトラブルに対応し、適切な処理や解決を目指します。

・マンションの現況確認
マンション内の現状をチェックし、問題があれば、それにあわせて管理規約や長期修繕計画などの確認、見直しを行います。

・住民間のコミュケーションづくり
住民の良好な人間関係はマンション管理の基礎となるもの。住民間のコミュケーションや親睦を深めるための活動を行います。広報誌を発行したり、お祭りなどのイベントを企画したりする場合もあります。

・総会の開催
マンション管理組合では、年に1度、すべての組合員が出席する総会を開き、1年分の管理費や修繕積立金の会計報告を行い、次年度の予算などの決議を図ります。積立金の変更など重要な議題については、理事会で決めるのではなく、総会で承認を得る必要があります。

管理組合役員の仕事はマンションの資産価値と住みやすさを維持する上で重要なものばかりです。すぐに役員になることがなくても、役員の仕事を知ることでマンション管理の知識が深まり、自身が暮らしやすいマンションづくりにもつながりそうですね。また、実際にご自身が役員をやるとなった時には、面倒だなと思ってしまうかもしれませんが、ご自身のマンションの維持管理状況を詳しく見られる機会でもあります。前向きに捉えて主体的に取り組んでいきたいものです。

5.そもそも管理組合って?マンション関連の用語や違い【2023年4月10日追加しました】

マンション管理組合 役員

管理組合を法人化して管理組合法人となったり、管理組合役員の負担を軽減するため、一部の業務を管理会社へ委託したりすることもあります。
マンション関連の用語は似ているものが多く混乱しがちです。管理組合と管理組合法人、管理者と管理会社など、似たような用語とその違いをおさらいしておきましょう。

<管理組合と管理組合法人>
●管理組合
区分所有者全員で構成される、マンションを管理する団体のことをいい、快適な住環境と資産価値を守るための活動を行います。
具体的な活動内容としては、共用部分の管理、管理規約の作成、総会の開催、修繕計画の策定、修繕積立金の管理、居住者への報告など非常に多種多様です。

最近、従来の理事会運営方式に加え、第三者管理方式が登場しました。
区分所有者の高齢化を背景とした理事の担い手不足や管理不全の深刻化は顕著になってきており、こうした問題を抱えるマンションを中心に注目を集めています。

☆マンション管理の方式については、こちらの記事もご覧ください。
マンション管理の「第三者管理方式」とは? 増加している理由とメリット・デメリットについて

●管理組合法人
総会決議により管理組合を法人化したものを管理組合法人といいます。

法人化のメリットは、管理組合が不動産の登記名義人になれるなど、権利に関する事柄が明確化すること、契約や法的手段の円滑化などが挙げられます。通常の場合、登記や契約は理事長個人の名義で行いますが、法人化していればこれらの権利を明確に分けることが可能です。また、契約や融資の際に法人格があれば信用や信頼につながることもメリットといえるでしょう。
デメリットとしては、登記変更や名簿作成などにコストがかかること、法人登記事務に手間がかかることなどが挙げられます。

<管理者と管理会社>
●管理者
区分所有者全員を代表して、敷地と建物を管理する人のことをいいます。

理事会運営方式であれば、理事会の理事長が管理者となります。また、最近登場した第三者管理方式であれば、管理会社の社員やマンション管理士などの第三者が管理者となります。

●管理会社
多岐にわたるマンションの管理業務の負担を軽減するため、管理組合から委託を受けて業務を代行する会社のことをいいます。
委託形態の種類としては、管理会社が全ての管理業務(事務管理業務、管理員業務、清掃業務、建物・設備管理業務)を請け負う「全部委託」と、管理員業務や清掃業務、設備メンテナンス業務など一部の管理業務を請け負う「一部委託」があります。

「全部委託」は管理組合の手間や負担が少なくなりますが、管理会社の支払う委託費が高額になることや管理組合の意識低下を招くなどの懸念があります。
「一部委託」は「全部委託」と反対に、委託費が抑えられて管理組合の意識を高めることもできますが、一方では管理組合の業務負担が増加することになります。

☆管理業務の委託形態については、こちらの記事もご覧ください。
マンション管理の3つの形態とは? それぞれのメリットとデメリットについて

<共用部分と専有部分>

マンション管理組合 役員

●共用部分
区分所有者が全員で共有し、共用している部分をいいます。
共用部分には、次の3つがあります。

・区分所有者が共同で使用する部分
廊下、階段、エレベーター、エントランスなど

・専有部分に属さない建物の付属物
専有部分の外部にある電気、ガス、水道設備など※

・本来は専有部分として利用できる部分だが、管理規約で共用部分とされたもの
管理人室、集会室、管理用倉庫など

※一般的には、各住戸の電気・ガス・水道メーター、排水管については床スラブと呼ばれるコンクリート躯体が、専有部分と共用部分の分岐点とされていますが、詳しくはお住まいの管理組合の規約をご確認ください

☆あわせてお読みください。
エアコン、トイレ、洗濯機からの水漏れに注意! マンションでの予防策と対処法

●専有部分
区分所有者が単独で所有している建物の部分のことです。
鉄筋コンクリート(RC)造であればコンクリートの内側にある居住スペースがこれに当たります。天井、床、壁などがコンクリートで作られており、これらの内側部分であれば専有部分となります。

更に似た言葉として、「専用使用権」という権利があり、敷地や建物の共用部分の一部を特定の居住者だけが限定的に使用できる場合があります。
例えば、専用庭、ベランダ(バルコニー)、駐車場といった共用部分は、該当の居住者専用の部分として使用することができます。しかし、あくまでも共用部分のため、リフォームや修繕をすることはできません。修理や修繕が必要な場合、一般的には管理組合が行います。大規模修繕工事や駐車場の工事など、共用部分の修繕を行う場合には、専用使用している居住者は速やかに片付けを行わなければなりません。

<区分所有者と占有者>
●区分所有者
専有部分を所有する人のことです。区分所有者が様々な理由(転勤、一戸建ての購入など)でマンションを引っ越すことになった時は、そのマンションを賃貸物件として貸し出す場合もあります。

●占有者
区分所有者から賃貸物件として借りて住んでいる人のことをいいます。
これには区分所有者と同居している親族も含まれます。

<マンションに関する法律・規約>
●区分所有法
マンションに関する権利や運営について定めた法律で、正式名称は「建物の区分所有等に関する法律」といいます。通称「マンション法」と呼ばれることもあります。

●管理規約
区分所有法に基づいてマンションごとに定められている規約(ルール)のことで、言わばマンションに住む居住者の法律のようなものです。リフォームをしたいけれど、窓は共用部なのか、専用使用権のあるバルコニーの使い方のルールはどうなっているのかなど、生活の中で疑問がわいた時には、一度ご自身のマンションの管理規約を確認してみましょう。

●標準管理規約
マンションなどの区分所有建物に関する管理規約について、一定のガイドラインを示すことを目的として、国土交通省が公表している標準的な管理規約です。IT化や置き配といった社会の変化を踏まえ、2021年6月に改正されました。

マンション管理組合員の高齢化、社会の情勢に伴って管理組合や規約、マンションに関わる法律も変化していきます。マンションの資産価値を維持するためには、こうしたマンション管理の知識を更新していくことや、管理組合員の主体的な取り組みが大切といえるでしょう。

■あわせてお読みください。
・マンション管理の3つの形態とは? それぞれのメリットとデメリットについて
・マンション管理計画認定制度 認定取得のポイントとは? 全国初の認定を受けた高島平ハイツ管理組合に伺いました。
・管理組合に聞く 管理組合運営を「自分ごと」として捉える 〜恒陽藤沢マンション〜 前編


《この記事のライター》
大塚 麻里絵
建装工業株式会社 MR業務推進部所属
埼玉県出身 東京理科大学理工学部建築学科卒業
一級建築士・一級建築施工管理技士を有し、大規模修繕工事現場にも従事した経験のある女性技術者・ライター

(2020年1月31日新規掲載、2023年4月10日記事更新)
*本記事は掲載時の内容であり、現在とは内容が異なる場合ありますので予めご了承下さい。

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