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マンション管理組合の心得! 2回目の大規模修繕を迎えるにあたって

マンション管理組合 大規模修繕 2回目

1. マンション管理組合として2回目の大規模修繕にどうのぞめばよいか

『マンション寿命を考える 2回目の大規模修繕は何を優先する』の記事において、マンションにおける2回目の大規模修繕の概要についてまとめました。そこで今回は、マンション管理組合の立場から、2回目の大規模修繕に対してどうのぞめばよいのかを考えます。

マンションの居住性能と資産価値を維持していくためには、定期的な大規模修繕が欠かせません。マンションの性能や価値に直接関係するものですから、大規模修繕はマンション管理組合にとって非常に重要な仕事であり、大きなイベントでもあります。マンションが存続する限り回を重ねていくことになりますが、言い方を変えれば、長きにわたってマンションを存続させられるかどうかは、その修繕の仕方しだいでもあるのです。そうした中でも、特に重要になるのが2回目の大規模修繕だと言われています。

2. マンション管理組合として知っておきたい、1回目の大規模修繕との違いとは

マンション管理組合として、まずは1回目の大規模修繕との違いを認識しておくことが大切です。2回目と言うからには、当然ながら初回を経験していることになりますが、実は、2回目の大規模修繕は1回目とは大きく異なります。

最初の大規模修繕を行うのは、新築から10年を過ぎた頃ですが、この時期にはまだ、建物本体や設備が大きく劣化することはありません。したがって、部材や設備の全面交換などをする必要はほとんどなく、補修程度で済むことが一般的なので、修繕工事にかかる費用も修繕積立金の範囲内で納まることでしょう。

それが、築後20〜25年程度経った2回目となると、屋上防水の全面的なやり直しや機械式駐車場、貯水槽といった設備の交換なども必要になります。これだけでも1回目と比べると、より大きな費用負担となります。また、住民のライフスタイルやニーズの変化によるバリアフリー化や、マンションの資産価値維持のための外観リニューアルも必要になります。

このように2回目の大規模修繕には、マンション管理組合として検討し対応しなければならないことが非常にたくさんあることがわかります。
マンション管理組合 大規模修繕 2回目

3. マンション管理組合が主体で行う2回目の大規模修繕

こうしたニーズをすべて実現しようとすると莫大な費用がかかり、修繕積立金を使い切るか、それでも足りなくなるといった恐れも考えられます。
大規模修繕の費用は2回目以降、回を重ねるごとに修繕範囲が広がりその費用も加算されていきます。その理由には、建物や設備の老朽化が進むこと、社会情勢の変化による建築コストの高騰などが挙げられますが、築年数が進むほど住人も高齢化していくということもあります。そのため、2回目の大規模修繕では必要な修繕をしっかり行いつつも、コストを抑える努力をしなければ、その後のマンション価値の維持がむずかしくなります。

近年では、管理組合支援団体が開催するセミナーなどでもマンション住民の主体性を促す動きも広がっているようです。そのセミナーではコスト削減について真剣に考えるのであれば、すべてを管理会社まかせにするのではなく、マンション管理組合が主体となり自らコストの削減について検討することが大切ですと啓蒙されているようです。

具体的には、大規模修繕工事にあたって、実際の劣化具合と住民のニーズをよく検討し、どこをどう修繕するかを見極めて、修繕ポイントの優先順位を検討する必要があります。
例えば、高齢者が増えるにつれて利用者が減る機械式駐車場を、平置き駐車場にして維持費を減らし、その代わりにシェア自転車をマンション管理組合で準備するなどの取り組みを行っているところもあります。時の経過とともに不必要になってきた設備や施設で費用負担が懸念されると判断したものは可能な限り減らしていきましょう。

また、日ごろからのコストの見直しも考えましょう。
どのマンションでも毎月管理費と修繕積立金を徴収していると思いますが、管理費を抑えて修繕積立金の部分を大きくすることも大事です。それには工夫が必要ですが、例えば、共用部分の植栽を見直し減らすと日々の水やりや落ち葉のそうじ、剪定などのコストが削減できます。
管理費の構成には「管理員業務費」「清掃業務費」「建物・設備管理業務費」等があります。建物・設備管理業務費等は見直しできる項目もあると思いますので、一度管理会社と見直しを相談されてはどうでしょうか。
マンション管理士に相談してみるのも良いかもしれません。

こうした費用についての工夫はもちろん、修繕工事の内訳の検討と見直し(長期修繕計画の見直し)は可能な限り早めに実施し、また何度でも見直し、必要な工事と、その原資の積み立てについて検討されると良いでしょう、直前になり一時金の徴収や借入金をすることになると居住者の負担は大きくなり、合意を得ることが大変になります。 1回目の修繕工事が終わったことで安心せずに2回目へのスタート地点と考えて、計画的に2回目の大規模修繕にのぞむようにすることが大切です。


《この記事のライター》
大塚 麻里絵
埼玉県出身 東京理科大学理工学部建築学科卒業
一級建築施工管理技士を有し、大規模修繕工事現場にも従事した経験のある女性技術者・ライター

(2018年12月3日記事更新)

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