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セカンドライフはマンションor戸建て? シニアが楽しむ新ライフスタイル

セカンドライフを楽しむ住居として、マンションと戸建てのどちらを選べばよいのでしょうか。シニア世代の住まい選びは、マンションと戸建てそれぞれの特徴を知り、ご自身のライフスタイルや将来の生活設計に応じて選択することが重要です。今回は、老後の暮らしを考え始めるシニア世代に向けてコスト、メンテナンス、将来性などの観点から住居選びのポイントを解説します。
目次
1. マンションと戸建ての特徴を比較 快適なライフスタイルがかなうのはどっち?
2. セカンドライフにぴったりなシニア向け住居選びのポイントとは
3. 充実したセカンドライフを送るために 住居選びで注意すべきこととは?
マンションと戸建ての特徴を比較 快適なライフスタイルがかなうのはどっち?
セカンドライフに向けてマイホームの購入を検討する際、マンションと戸建てのどちらを選ぶべきか迷う人も多いでしょう。シニア世代が後悔のない老後を送るには、自身のライフスタイルや将来の生活設計を踏まえて検討することが重要です。ここでは、豊かなセカンドライフを実現するために知っておきたい、マンションと戸建てのそれぞれの特徴を比較します。
●マンションの特徴
マンションは、シニア世代にとって心強い設備が充実しています。
エレベーターやスロープ、手すりの設置などバリアフリー環境が整備されているため、車いす生活の方や足腰が弱っている方も安心です。加えて、オートロックや防犯カメラなどのセキュリティ対策も進んでおり、犯罪の抑制効果が期待できます。また、管理組合が建物の屋根や外壁、廊下やラウンジなど共有部分の管理を行うため、居住者は外構の掃除やメンテナンスの負担を負わずに済みます。ただし、マンションの老朽化に伴って修繕積立金が増額される傾向にあるため、そのことを踏まえて十分な老後資金を確保しておく必要があるでしょう。
●戸建ての特徴
戸建ての持ち家は自由な間取り設計やリフォームが可能で、理想の住まいを実現しやすいといえます。壁紙を変えたり手すりを設置するなど、内装もそのときの状況に合わせて変えられます。ただし、屋内だけでなく屋外も掃除やメンテナンスが必要で、屋根や外壁なども自身で定期的な点検や補修などを手配しなければなりません。
セカンドライフにぴったりなシニア向け住居選びのポイントとは

シニア世代が安心してセカンドライフを送るには、「金銭面」「安全面」「生活の快適性」の3つの要素が重要なポイントとなります。
●金銭面での住居選びのポイント
マンションでは、管理費や修繕積立金といった維持費が毎月のように発生します。特に築40年を超えるような古いマンションでは、修繕積立金が高額になるケースが多いようです。これには、築年数が古くなるほど共用部分の外壁が剥がれ落ちたり、鉄筋の露出や腐食、給排水管の老朽化といった問題が生じるリスクが高まるため、大規模修繕のサイクルが短くなり、修繕箇所が多くなるという背景があります。
※参考:マンション政策の現状と課題(国土交通省)
築年数が古いマンションを購入する際は、購入価格だけでなく、将来的にかかる維持費なども加味したトータルの支出を考慮して判断するようおすすめします。
一方、戸建ての場合、床や壁などの屋内部分のみならず、外壁や屋根といった屋外部分も定期的な維持管理が必要です。
メンテナンスの周期としては、材質にもよりますが、外壁は2〜4年ごとに点検して15〜20年ごとに補修、屋根は2〜6年ごとの点検と10〜30年ごとの葺き替えが目安です。
また、建物が古くなるにつれて点検や補修のサイクルが短くなる点にも注意しましょう。
●安全面での住居選びのポイント
特に中古マンションを検討する場合には、維持管理が適切に行われているかしっかり確認してください。メンテナンスが不十分な物件では、廊下や手すりなどの損傷によって転倒してけがをするおそれもあり、注意が必要です。
なお、適切な大規模修繕工事の周期を12年程度と考えると、築40年以上のマンションの約4割、築30年以上のマンションの約2割がこれを満たしていない可能性があるといわれています。
また、築40年を超えるマンションは、2018年を基準とすると10年後には約2.4倍、20年後には約4.5倍まで増えると考えられます。これに伴って、大規模修繕が十分に実施できない物件もさらに増加すると予測できます。
※参考:マンション政策の現状と課題(国土交通省)
そのため、中古マンションを購入する際は、メンテナンスが適切に実施され、安全面に問題がない物件であることを必ず確認しましょう。
一方、戸建てはマンションと比べて侵入や逃走に使える窓や扉が多く、空き巣のターゲットになりやすいといえます。防犯カメラやセンサーライトを設置したり、音が鳴る防犯砂利を敷いたりして、防犯対策を施すようおすすめします。
●生活の快適性
マンションは、駅に近い商業施設や公共交通機関が充実したエリアに建てられることが多く、買い物など日々のお出かけにも便利で、車の運転に自信がなくなってきたという方にも安心です。また、マンション内はエレベーターを使えば階段の上り下りをせずに済むため、足腰に負担をかけず安全に暮らせます。
一方、戸建てには、生活動線を考えた設計やリフォームが可能で、暮らしやすい環境をつくりやすいという利点があります。さらに、隣家との間に十分な距離が確保されていれば、互いの生活音もそれほど聞こえず騒音トラブルが起こりにくいでしょう。落ち着いた静かな環境で自分たちに合ったセカンドライフを送りたい方には適しているといえそうです。ただし、北国では雪下ろしや落ち葉拾い、南では台風といったように地域特有の対策が必要な場合もあるので慎重に検討する必要があります。
そのほか、マンションでも戸建てでも、将来自分が思うように体を動かせなくなったとき、子どもや周囲の人に介護してもらう生活を想定しておくことも大切です。さらに、子どもに物件を譲渡する可能性も考慮し、暮らしやすい間取りに変更できるような住居を選択しておくとよいでしょう。
充実したセカンドライフを送るために 住居選びで注意すべきこととは?

老後に向けて住居を選ぶ際、持ち家か賃貸かで迷われる方も多いのではないでしょうか。
住宅ローンを組んで持ち家を購入する場合には、完済時の年齢を考慮する必要があります。住宅ローンは60歳以上であっても金融機関の条件を満たせば申し込めますが、80歳未満で完済できるように返済計画を立てるのが一般的です。そのため、60代や70代で住宅ローンを組むと返済期間が短くなり、月々の返済額が増えて老後資金が不足するおそれがあります。住居を担保にして毎月の利息分だけを支払う「リバースモーゲージ」や、持ち家を売却し、買主に家賃を払って住む「リースバック」なら、老後資金が手元に残りやすいでしょう。
賃貸物件を探す場合、60歳を過ぎると借りにくくなる傾向がありますが、シニア向け物件に絞って検討すれば比較的スムーズに選べます。また、身寄りがなく保証人を立てられない方でも、家賃債務保証を利用すると借りやすくなる可能性があります。
このように持ち家と賃貸ではそれぞれ異なるポイントがあるため、事前によく確認しておきましょう。
充実したセカンドライフを送るには、老後資金をしっかり把握し、綿密な資金計画を立てることが大切です。マンションと戸建てにはそれぞれ魅力がありますが、自分がどのように暮らしたいか具体的にイメージすると方向性が見えてきます。
目先のことだけでなく、長期的なビジョンをもって慎重に住居を検討しましょう。
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■この記事のライター
□吉田 秀樹
建装工業株式会社 MR業務推進部 統括部長
愛知県出身 職能能力開発総合大学校(当時:相模原市)卒業
マンション管理士・一級建築施工管理技士・マンション維持修繕技術者を有し、大規模修繕工事の営業に従事した経験者
※建装工業株式会社公式HPはこちら
(2025年6月2日新規掲載)
*本記事は掲載時の内容であり、現在とは内容が異なる場合ありますので予めご了承下さい。