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プラスチックフリーな蜜蝋ラップ作りに挑戦! 〜環境にやさしいマンションライフ

プラスチック

「プラスチックフリー」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
プラスチックは便利な一方で、地球温暖化やマイクロプラスチック問題など、環境へ及ぼす影響も指摘されています。
そこで生まれたのが「プラスチックフリー」「脱プラスチック」「脱プラ」という概念です。いずれも「プラスチックを使わないこと」を意味するエシカルな消費行動です。
今回は、楽しくおしゃれにプラスチックフリーを取り入れることができる蜜蝋ラップについて詳しくご紹介します。

目次
1. プラスチック問題は世界的な環境問題のひとつ
2. エシカルな選択とは? プラスチックフリーで環境に配慮
3. 蜜蝋ラップって何? 生活をおしゃれに彩りプラスチックフリーにも貢献
4. 蜜蝋ラップ作りに挑戦! 楽しいから続けられる、エシカルな暮らし

プラスチック問題は世界的な環境問題のひとつ

プラスチックは、軽くて丈夫な上に自在に成形できるため、包装材や容器などとして幅広く利用されており、私たちの生活に欠かすことができない素材です。
しかし、プラスチックは化石燃料を原料としており、燃やすと温室効果ガスを発生させ、地球温暖化の原因となります。また、適切に処理されないプラスチックゴミは、海中で微細化し、膨大な量のマイクロプラスチックとなって海を汚染していることも知られています※1。特に、プラスチックの一種である合成繊維は、洗濯時に微小なプラスチック粒子として、流出することが判明しています※2。このマイクロプラスチックの流出は、生態系への悪影響が懸念される一因となっています。このようにプラスチックの廃棄物にはさまざまなリスクが存在し、これが世界規模で問題視されているのです。

※1 プラスチックを取り巻く国内外の状況(環境省)
※2 衣料品から出るマイクロプラスチックの流出防止にご協力をお願いします(環境省)

エシカルな選択とは? プラスチックフリーで環境に配慮

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エシカル(ethical)は倫理的という意味の英単語で、エシカル消費とは「倫理的・道徳的消費」という意味です。消費者庁が2020年に行ったエシカル消費に関する意識調査※3では、マイバッグやマイカップの使用を実践しているという回答の割合は86.8%に上り、包装やトレイについても「必要最小限にする方が望ましい」と答える人が57.8%となっており、エシカル消費の意識は広がりつつあります。

※3 参考:「倫理的消費(エシカル消費)」に関する消費者意識調査報告書(消費者庁)

今回は、エシカル消費という観点から、プラスチックの利用について考えてみたいと思います。生活と密接に関わるプラスチックだからこそ、一人ひとりが少しずつでも消費行動を変えたいものです。

※エシカル消費やSDGsについては下記記事も参照ください
エシカル消費って何? マンションライフで実践する社会への思いやり行動
マンションライフでSDGs! 〜日常生活でできること、マンション改修でできること〜

以下は、簡単に実践できるプラスチックフリーの取り組み例です。

・レジ袋の代わりにマイバッグを利用する。
・ペットボトル飲料を買う代わりにマイカップ(タンブラー)や水筒を利用する。
・マイストローやマイ箸を常備する。
・トレイのない商品・過剰包装をしていない商品を選ぶ。
・プラスチック製の容器ではなく、紙からできている紙パックやパルプモールド容器・紙製深絞りトレイの商品を選ぶ。
・プラスチック製ではなく、ガラスやホーロー製品を選ぶ。
・使い捨てのプラスチック製品の代わりに、繰り返し使えるものを選ぶ。
・合成繊維の服を洗濯する際には、マイクロプラスチックファイバーの流出を防ぐ洗濯ネットを使う。
・マイクロプラスチック不使用の化粧品を選ぶ。

プラスチックフリーやエシカル消費など、特別な意識をもたずに既に実行されている項目もあるかもしれません。
さらに、いつも使っているプラスチック製品を見直すことで、ほかの素材の良さを再確認できる可能性もあります。

蜜蝋ラップって何? 生活をおしゃれに彩りプラスチックフリーにも貢献

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私たちがいつも使っている使い捨てプラスチックの代表選手ともいえるものに食品の保存のために用いる“ラップ”があります。食品を乾燥から守るなど大変便利な商品です。その通常プラスチック製のラップの代替になるのが、自然の材料でつくる蜜蝋ラップです。

蜜蝋ラップは、布を蜜蝋でコーティングしたもので、一般的なプラスチック製ラップのように密着性があり、水洗いして繰り返し使うこともできます。
蜜蝋はミツバチが作った巣の素材であり、化粧品やリップクリームにも使われる天然の素材ですので、食品と接しても安心です。

蜜蝋ラップは、容器にかぶせて縁を抑えるとぴったりと密着し、ほぼ密閉状態になります。冷蔵庫の中では、蜜蝋が冷やされ、硬くなることで固定されます。また、手の暖かさで蜜蝋を温めると形を変えることができます。常温では程よい硬さがあり、形を保つことが可能です。

蜜蝋ラップを使用した後は、水洗いするか、薄めた食器用洗剤でやさしく洗い、自然乾燥させます。乾いたら、くるくると棒状に丸めて保管すると見た目が整っておしゃれです。

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●おすすめの使い方と注意点
【おすすめの使い方】
・コップやお皿にかぶせて蓋をして、料理を取り置く。
・野菜・果物を直接包み、冷蔵庫で新鮮なまま保存する。
・使いかけの食材を入れた容器の蓋にして、乾燥を防いで保存する。
・サンドイッチやおにぎりを包んで、ランチとして持っていく。
・蜜蝋ラップを整形して、お皿代わりに使い、おやつを楽しむ。

【注意点】
・衛生上の理由から、生の魚や肉を直接包むことは避けましょう。
・蜜蝋の成分が溶け出して食品に移る可能性があるため、油脂の多い食品は避けましょう。
・蜜蝋は酸に弱いため、レモンなどを包むと劣化が進む可能性があります。
・蜜蝋の融点は約65℃なので、電子レンジでの使用や食品の加熱には使えません。

直接触れさせたくない食品などを保存したい場合は、深さのある容器に入れてから蜜蝋ラップで蓋をしてください。

蜜蝋ラップ作りに挑戦! 楽しいから続けられる、エシカルな暮らし

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蜜蝋ラップは家庭でも簡単に作れます。お気に入りの布地で作れば、プラスチックフリーを取り入れたエシカルなくらしを楽しめるでしょう。

【材料】
・布(オーガニックコットンがおすすめ)
・食品添加物基準品の蜜蝋(ビーズワックス)
※手作り用セットも売られています。

【用意するもの】
・クッキングペーパー
・アイロン
・新聞紙

【作り方】
1. アイロン台が汚れないよう、アイロン台の上に新聞紙を広げ、アイロンを低温に設定する。
2. 広げた新聞紙の上にクッキングペーパーを敷き、布を広げて置く。
3. 蜜蝋を一定の間隔で布の上に置き、さらにその上にクッキングペーパーを広げる。
4. 3で広げたクッキングペーパーの上から優しくアイロンをかけ、蜜蝋を溶かして布にしみこませる。蜜蝋が足りなければ蜜蝋を足し、全面にしみこませてください。
5. そのまましばらく置き、十分に冷めたらクッキングペーパーを外して完成。
※アイロンで溶けた蜜蝋は熱くなっていますのでやけどに注意しましょう。

自分で作った蜜蝋ラップなら、愛着がわいて大切に使いたくなるはずです。蜜蝋ラップは好みの色や模様の布を選べるので、色柄によって便利に使い分けることもできます。

楽しみながらプラスチックフリーを取り入れてエシカルな暮らしを無理なく続けることで、地球規模の課題解決につながっていくのです。 ぜひ、ご家族皆さんで蜜蝋ラップを使ってみてください。

■あわせてお読みください。
・リボベジってなに?食品ロスを減らしてSDGsに貢献!
・マンションライフでSDGs! 〜日常生活でできること、マンション改修でできること〜
・どうなっているの? 世界のマンション事情 〜韓国編〜
・ノーマライゼーションの視点とユニバーサルデザインでみんなが住みやすいマンションへ
・カーボンニュートラルとは何? マンション住民が地球温暖化対策でできること
・社員に聞くシリーズ 京葉第一支店、京葉第二支店における「ちばSDGsパートナー制度」への取り組み〜


■この記事のライター
熊谷 皇
国立大学法人 鹿児島大学院工学研究科建築学専攻終了。建築環境工学(温熱環境、省エネ等)を専門とする技術者。国土交通省 住宅の省エネ基準検討WGの委員、建築環境省エネルギー機構(IBEC)・日本建築センター(BCJ)・職業能力開発総合大学校等の講習会講師、日本建築ドローン協会(JADA)のWG等の委員を歴任。

(2023年8月7日新規掲載)
*本記事は掲載時の内容であり、現在とは内容が異なる場合ありますので予めご了承下さい。

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