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アシダカグモはゴキブリの天敵? 見た目は怖いけれど人には無害。その生態と上手な付き合い方

玄関や廊下で、手のひらほどの大きな蜘蛛(クモ)に出会うと、思わず身を引いてしまうかもしれません。その正体は、アシダカグモ。見た目は怖いですが、人やペットに害はなく、ゴキブリなどの害虫を捕食してくれる頼もしい存在です。
そのため、むやみに駆除するのではなく、正しい知識を持って、共存するのも一つの選択肢かもしれません。今回はアシダカグモの生態、益虫(えきちゅう)と呼ばれる理由、そして家の中で見つけたときの具体的な対処をわかりやすくご紹介します。
目次
1. アシタカグモとは? 見た目・性格・安全性
2. なぜ家にいるの? 生態と習性
3. ゴキブリの天敵って本当? 益虫としてのメリット
4. 家の中で見つけたときの対処法
アシタカグモとは? 見た目・性格・安全性
アシダカグモはインド原産で、船舶や荷物に紛れて世界各地に広がりました。日本では1878年に長崎で初めて報告された外来種の蜘蛛です。主に関東以南に分布し、近年の温暖化の影響で北上しつつあります。
●見た目・特徴
アシダカグモの体色は灰褐色で、白や灰色の毛がまばらに生えています。オスは体長(頭胸部から腹部の先までの胴体の長さ)1.5〜2.5cm、メスは2.5〜3cmほどで、脚を含めると手のひら大になります。
見た目は大きいですが、性格は臆病。人の気配がすると素早く物陰に隠れます。
【豆知識(安全性)】
・毒は持たず、人やペットに害はないとされています。
・ただし、直接つかむと防御反応で噛むことがあるため、触らないのが大切です。
・もし、噛まれても人体への影響は小さく、過度に心配する必要はありません。
なぜ家にいるの? 生態と習性
蜘蛛といえば巣を張るイメージがありますが、アシダカグモは糸で網を作らない「徘徊性」の蜘蛛です。
・昼は家具や物陰に潜み、夜に活動します。
・糸をまったく使わないわけではなく、高所移動など、自身の位置を確保する目的で糸を出すことがあります。
・臆病な性格のため、人の気配や物音に敏感に反応してすぐ隠れ、近づいてくることはほとんどありません。
【豆知識(繁殖と寿命)】
・春から初夏に産卵し、母グモは卵嚢(小さな丸い袋)を抱えて移動します。中には200〜300個の卵が入っています。
・数週間で3〜5mmの子グモが生まれ、脱皮を重ねて成体になります。
・寿命は数年とされ、条件が良いと長く同じ家で暮らすこともあります。
☆網を張らない蜘蛛(くも)は他にもいます。こちらもご覧ください。
⇒家の中でぴょんぴょん跳ねる小さい蜘蛛。家蜘蛛(いえぐも)『アダンソンハエトリ』は衛生環境のリトマス試験紙?
ゴキブリの天敵って本当? 益虫としてのメリット

アシダカグモの主な餌は、ゴキブリ・ハエ・蚊・蛾といった家の中の害虫です。つまり、家の衛生環境の維持に役立つ存在です。
・狩りの方法:物陰で待ち伏せし、近づいた獲物(ゴキブリやハエ、蚊など)に一気に接近し、捕えます。
その瞬発力は驚くほど速く、人間の目では追い切れないほどです。
・食べ方:獲物の体内に消化液を注入し、液状になった栄養を吸い取るというクモならではの方法です。
【豆知識(愛嬌あるしぐさ)】
狩りの最中は獰猛に見えるアシダカグモですが、リラックスしているときは前脚を丁寧に動かして毛づくろいをしているような仕草をみせます。その姿はどこか愛嬌があるのでアシダカグモを飼育する人もいるほどです。
アシダカグモは人になつくことはありませんが、人の存在に馴れていきます。
先入観を捨てて観察してみると、アシダカグモの魅力に気づくかもしれません。
家の中で見つけたときの対処法

心理的な負担や家庭の状況に合わせて、「共存する」「逃がす」「回避する」の3つの手法から選びましょう。無理のない方法を選ぶことが大切です。
共存する 〜そっと見守る〜
・ゴキブリ対策として役立ちます。
・夜型なので、寝室や子ども部屋は扉を閉めると遭遇しにくくなります。
逃がす 〜やさしく非接触〜
・コップ+厚紙でやさしくすくって玄関・ベランダから外へ。
・直接手で触らず、高所では踏み台や椅子を使わず、無理をしないでください。
回避する 〜発生源を絶つ〜
・食べ物管理:常温放置をやめ、密閉容器に。
・生ごみ:こまめに処理し、袋は口をしっかり結ぶ。
・掃除:キッチンの油はね・床の食べこぼしをその日のうちにサッと拭く。
・水回り:排水口やシンクの水気を寝る前にふき取る。
・侵入経路:網戸の破れ・窓やドアの隙間・換気口の網をチェックし、すき間テープで補修。
さらに最終手段として殺虫スプレーもあるのですが、吸入リスクや二次汚染などもあるので、まずは、「共存する」「逃がす」「回避する」から対策するのがお勧めです。
アシダカグモがゴキブリやハエを食べてくれる益虫とわかっていても、家の中で見かけたら驚くかもしれません。見た目は怖いけれど、人やペットには無害で、ゴキブリやハエなどの害虫を減らしてくれる頼もしい存在です。そのため、まずはアシタカグモの生態を正しく知り、距離を保って共存することを考えてみませんか? どうしても苦手な場合は、外に逃がしたり、家の衛星管理と侵入対策を整えるといった方法もあります。
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■この記事のライター
□熊谷皇(くまがいこう)
国立大学法人 鹿児島大学院工学研究科建築学専攻終了。専門は建築環境工学(温熱環境、省エネルギー)。国土交通省住宅の省エネ基準検討WG委員、日本産業規格JIS A 9521(2017)技術コンサル、建築環境省エネルギー機構(IBEC)・日本建築センター(BCJ)・職業能力開発総合大学校の講師を歴任。日本建築ドローン協会(JADA)WG委員。
(2026年2月2日新規掲載)
*本記事は掲載時の内容であり、現在とは内容が異なる場合ありますので予めご了承下さい。



















