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マンションで多頭飼いはできるのか 〜ペットと暮らす楽しい生活〜

「ペット2匹と一緒にマンションに住みたい」「マンションで飼っているペットに加えて、もう1匹迎え入れたい」と思った時、物件探しで苦労した経験はありませんか?
不動産経済研究所の調査によると、2008年の1年間に首都圏で供給されたペット可マンションは86.2%。一方、2024年の犬猫飼育実態調査では、犬猫を「現在飼育していない最大の理由」として「集合住宅に住んでいて禁止されているから」という回答が第1位となりました。
ペットを飼いたいというニーズに供給が追い付いていない現状があり、さらに多頭飼いをしたい場合は選択肢が限られています。この記事では、多頭飼いできるマンションの現状や管理規約、多頭飼育のポイントなどを紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
1. マンションで多頭飼いできるケースは少数 マンションごとに異なる飼育ルール
2. 違反して多頭飼い…発覚した場合どうなる?
3. どうしてもペットを多頭飼育したい場合の注意点 管理規約の確認も忘れずに!
マンションで多頭飼いできるケースは少数 マンションごとに異なる飼育ルール
2匹以上のペットを飼育可能なマンションは多くありません。ペット飼育の可否と飼えるペットの数については、マンションの管理規約で定められていますが、ある調査では1匹までが76.7%、2匹までが19.6%という結果でした。
さらに、3匹以上を可とする物件は1%ほどで、頭数が明示されていないものは2.7%となっています。ちなみに管理規約によって飼育に関するルールが明示されるようになったのは1990年代後半です。
それ以前に分譲されたマンションでは、ペット規約をつくっていないケースや、ペット飼育を可能とし頭数の上限を定めていない場合があります。このことから考えると3匹以上飼育可能なマンションは、1990年代以前に建てられた古い物件が多いようです。
違反して多頭飼い…発覚した場合どうなる?

すでに多頭飼いをしていて新たな入居物件を探す場合は、不動産業者に相談するのが一番ですが、現状でマンションに居住していてもう1頭迎え入れた場合は注意が必要です。
管理規約細則を確認することなく飼い始めると規約違反になってしまいます。具体的には次のようなデメリットが生じる恐れがあるので気をつけましょう。
【契約違反に伴う賠償を迫られる】
契約違反が発覚すると管理規約に基づいて損害賠償を請求される可能性があります。さらにはペットによる騒音や臭いなどで、他の住民に迷惑がかかったと判断されれば、修繕費や慰謝料を求められることも考えられます。
【退去を迫られる】
管理規約に違反して多頭飼いをしていることが判明すると、管理組合から是正を求められ、応じなければ退去を命じられる恐れがあります。そうなれば契約解除となり、住まいを失うリスクも否定できません。
【ペットを手放すように求められる】
規約に違反すると管理組合からペットの頭数を減らすように指示され、結果として新たに迎えたペットを手放さざるを得なくなることがあります。命に関わる深刻な決断を迫られる前に、必ず飼育の可否を確認してください。
どうしてもペットを多頭飼育したい場合の注意点 管理規約の確認も忘れずに!

動物にも個性や相性があるため、多頭飼いは簡単にできるものではありません。しかし、「もう一匹ペットを飼いたい」という飼い主の望みだけでなく、留守番中に寂しくないようにというペットへの気遣いから、多頭飼いを検討する場合もあるでしょう。
さらに、行き場のない犬や猫など、引き取らなければならない状況が発生することもあるかもしれません。ここでは、2匹目を受け入れる際のポイントについて解説します。
【犬どうしの場合】
・同じような年齢と体格だと体力に差が無くライバル意識が強くなるので、4〜5歳差が推奨されます。
・犬は不安定な関係を嫌い、順位を気にするため、遊びや食餌、コミュニケーションなどで先住犬を優先します。
・2頭とも引綱をつけた状態で対面させ互いが次第に慣れていくのを待ち、慣れてきたら自由に会わせましょう。
【猫どうしの場合】
・猫は以前からその場所にいたものが優先権を持つ傾向があるので、遊びや食餌、コミュニケーションなどで先住猫を優先します。
・猫好きな性格の猫を選ぶようにします。先住猫が孤独を好むタイプなら、新たな猫は他の猫を無視できる性格の個体を選ぶようにします。
・新しい猫を先住猫に引き合わせるのは落ち着いてからにします。猫の様子を見ながらドア越しに対面させるか、一緒の部屋で慣れていくのを待ちます。
【犬と猫の場合】
・子犬と子猫を同時に迎えるか、成犬がいる家庭に子猫を迎えると、上手くいく可能性が高いとされています。
・犬と猫は必要とする栄養素が異なるため、食事の場所や時間を分けて、お互いに取り合わないようにします。
・散歩で外出した犬の体に付着したノミやダニが、家庭内で猫に移ることもあるため、外に出さない猫もノミダニ予防が必要です。
ペット可マンションが増えている一方で、多頭飼いに対応した物件は少数です。管理規約による制限や、違反時のリスクがあるため、必ず事前に確認してください。
また、多頭飼いには犬や猫の相性だけでなく飼育環境にも注意が必要で、無理なく迎え入れるために工夫が求められます。多頭飼いを検討する際は管理規約を確認し、動物同士の関係性を尊重するよう配慮を忘れないようにしましょう。
■あわせてお読みください。
・マンションペット問題 ペットと暮らす楽しい生活
・マンションでもできる動物福祉。保護犬、パピーウォーカーとは?
・マンションでペットとストレスなく快適に過ごすためのリフォーム
■この記事のライター
□吉田 秀樹
建装工業株式会社 MR業務推進部 統括部長
職能能力開発総合大学校を卒業後、建築・マンション修繕の分野で40年の実務経験を重ねる。マンション管理士・一級建築施工管理技士・一級管施工管理技士・マンション維持修繕技術者として、数多くの大規模修繕計画や管理組合支援を担当し、実務に即した提案力に定評がある。一方で、「専門知識を住民の方にもわかりやすく伝えること」をモットーに、講演・執筆・現場でのアドバイスを通じて、区分所有者が安心して暮らせるマンション環境づくりに取り組んでいる。専門家としての厳密さを大切にしながらも、読者に寄り添い“暮らしに役立つ情報”を届けることを目指している。
(2025年12月1日新規掲載)
*本記事は掲載時の内容であり、現在とは内容が異なる場合ありますので予めご了承下さい。





















