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猫も熱中症になるの? 〜マンションで猫と暮らす〜

年々厳しさを増す日本の夏。人間だけでなく、室内で暮らす猫たちにも熱中症のリスクが高まっています。猫は汗をかいて体温を下げることができないため、自力で体温を調整するのが苦手な動物といえます。猫にはそのような身体的特徴があるからこそ、飼い主による環境づくりが欠かせません。
この記事では、猫の習性に合わせた熱中症対策と、夏を快適に過ごす部屋づくりのポイントを紹介します。
目次
1. 猫にも熱中症のリスクがある? 猫に必要な熱中症対策
2. マンションにおける熱中症対策 猫に最適な部屋のレイアウトとは?
3. 熱中症にならないために 夏のお留守番で注意すべき点
猫にも熱中症のリスクがある? 猫に必要な熱中症対策とは
気温が30℃を超える場合や、温度が急激に上がる場所では、猫にも熱中症のリスクがあります。猫は汗をかいて体温を下げることができず、犬のように舌を出して口呼吸することもほとんどありません。そのため、自力で体温を調節するのが苦手です。
特に、ペルシャ、エキゾチック・ショートヘアー、ヒマラヤンなど、鼻が短い短頭種の猫は、身体的に熱を発散しにくい構造があるため、熱中症に陥りやすいとされています。
また、成長途中の子猫や身体機能が低下している高齢猫、病気などで免疫力や体力が落ちている猫、肥満の猫も体温調整が難しいので注意が必要です。
軽度の熱中症に罹患しても、猫は元気がなくなるほか、口呼吸をしてよだれが増えます。嘔吐や下痢に加えて震えの症状がある場合は、なるべく早くかかりつけの動物病院に連絡して、治療のために受診することをおすすめします。
しかし、熱中症を防ぐためには何よりも事前の対策が第一です。熱中症による受診が増えてくるのは、5月からといわれています。飼い猫が暑さを回避できるように、部屋のレイアウトを工夫したり、必要なグッズをそろえたりするなど、早めに準備を整えてあげましょう。
マンションにおける熱中症対策 猫に最適な部屋のレイアウトとは?

マンションでできる熱中症対策を具体的にご紹介します。
【適度な気温と湿度を保つ】
猫にとっての適温は28℃前後、湿度は50%前後とされていますが、品種や個体によって環境に対する適応力も異なります。温度・湿度ともに高い環境では、熱中症になりやすいため、エアコンを積極的に活用してください。
また、扇風機には空気を冷やす機能が搭載されていませんが、エアコンと併用して冷たい空気を循環させると効果的です。
遮光カーテンや断熱シートなどを利用すると、日差しを遮って室温の上昇を防ぐことができます。しかし、窓辺が好きな猫はカーテンやシートの外側に行ってしまうかもしれないので配慮が必要です。
飼い猫のお気に入りの場所や、よく過ごしている場所を適温に保つようにしましょう。
【涼しい場所への経路を確保】
部屋のレイアウトや出入口を工夫して、玄関、廊下、お風呂場など、涼しい場所を探して自由に行き来ができるようにすることも大切です。エアコンは万能ではなく、あまり好まない猫もいます。猫が自ら快適な場所を見つけられるなら、それが一番なのです。
また、餌や水が特定の場所に置いてあるような場合は、そこにたどり着くための経路を確保しなければなりません。ドアストッパーなどを利用して、行き来できる隙間を確保してあげれば、風通しも良くなって一石二鳥です。
【水分補給を十分に】
水飲み場は複数の場所に設置すると、十分な水分補給が可能になります。また、夏の時期は暑さで水が変質しやすくなっているので、新鮮なものに取り換えるのを忘れないようにしてください。
容器は水をひっくり返してしまわないように倒れにくいものを選びます。ただ、猫は容器が変わると警戒して水を飲まない場合もあるので、普段から複数の容器に慣れさせておくと良いでしょう。
【ひんやりグッズを活用】
冷感素材やジェル、金属などを利用したひんやりグッズを利用するのもおすすめです。具体的には次のようなものがあります。
・氷結ボックスつきペットハウス
・アルミ製猫鍋
・天然石マット
・冷感素材のマット
・冷却ジェル入りマット
猫の性格や好みに合わせて、お気に入りの場所に敷くマットや、ペットハウスを選択してください。
【冬毛の除去も有効】
ブラッシングやシャンプーによる冬毛の除去も怠るべきではありません。冬毛を取り除くと通気性が良くなって熱が逃げやすくなるからです。
特にメインクーン、ノルウェージャンフォレストキャットなど、長毛種の猫や北国育ちの猫は毛に保温効果があるため、冬毛を除去することで高い効果が期待できます。
また、ブラッシングはスキンシップを通して猫との絆を深める良い機会にもなります。
熱中症にならないために 夏のお留守番で注意すべき点

飼い猫を家に置いて外出するような場合、夏は特に気を付けるべきポイントがあります。お留守番させるときは以下のことに気を付けましょう。
【扇風機をつけっぱなしにしない】
扇風機をつけっぱなしにしておくと跳びついたり手足を入れたりして怪我をする恐れがあります。好奇心旺盛な猫にとって動いている扇風機は気になる存在なのです。
また、怪我をしても飼い主が帰ってくるまで対処できないこともリスクになります。外出する際は扇風機の電源を切りましょう。
【暑くなる空間に閉じ込めない】
閉め切った狭い空間は温度が急激に上がりやすいので危険です。飼い主が気づかない間に猫がトイレや押し入れに入り込んで閉じ込められてしまう例もあります。
閉じ込められた猫は水や餌にありつけなくなるだけでなく、気温と湿度が上昇すれば熱中症のリスクが高まります。猫に留守番をさせる際は部屋にいることを確認してから外出するようにしましょう。
【ひんやりグッズの保冷剤に注意】
固まらない保冷剤の多くに含まれているエチレングリコールは、ペットに有害なので飼い猫が誤食しないよう注意が必要です。噛み癖がある猫に冷却ジェルを利用したマットなどは不向きでしょう。
保冷剤を使用する際には成分が安全かどうかを確認し、直接触れられない構造のものなら使用可能といえます。
暑さが厳しくなるこれからの季節、猫にとっても熱中症は命に関わる問題です。室温管理、水分補給、快適な避暑スペースの確保、そして適切なケアが、愛猫の健康を守る鍵となります。
ちょっとした工夫と心配りをすることで、大切な家族である猫がこの夏も元気に、そして快適に過ごせる環境を整えてあげましょう。
■あわせてお読みください。
・マンションペット問題 ペットと暮らす楽しい生活
・マンションでペットとストレスなく快適に過ごすためのリフォーム
・マンションでもできる動物福祉。保護犬、パピーウォーカーとは?
■この記事のライター
□吉田 秀樹
建装工業株式会社 MR業務推進部 統括部長
愛知県出身 職能能力開発総合大学校(当時:相模原市)卒業
マンション管理士・一級建築施工管理技士・マンション維持修繕技術者を有し、大規模修繕工事の営業に従事した経験者
※建装工業株式会社公式HPはこちら
(2025年8月4日新規掲載)
*本記事は掲載時の内容であり、現在とは内容が異なる場合ありますので予めご了承下さい。