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道で視界を遮る小さい羽虫の大群「蚊柱」の正体! ユスリカの駆除・予防対策は?

ユスリカ

夏の終わりの夕暮れ時、街灯の明かりなどに群がる小さな羽虫の大群を見たことはありませんか?

これは『ユスリカ』という虫で、日本では約2000種が確認されています。見た目も名前も蚊を連想させるような虫ですが、蚊ではなくハエの仲間です。『ユスリカ』は、血を吸わないものの、不快で人にストレスを感じさせたり、死骸を吸い込むことで健康被害を及ぼしたりすることもあるので、身近で発生させないようしっかりと対策したいものです。

今回は『ユスリカ』の生態や駆除方法、マンション内の側溝やベランダでの発生を防ぐための対策について解説していきます。

目次
1. ユスリカとは
2. ユスリカの駆除方法は?
3. ユスリカを発生させないための予防策

1. ユスリカとは

ユスリカ

ユスリカの中でも特に都市部で多く見られるのが『セスジユスリカ』と呼ばれる種です。セスジユスリカは日本全域に分布しており、汚染の進んだ水辺や街灯などの照明に集まってくる習性があります。
まずはこのユスリカについて、活動が活発になる時期や発生しやすい場所、健康面への被害なども詳しくご説明します。

●ユスリカの活動時期
ユスリカは基本的に1年中活動していますが、特に活動が活発になるのは初夏から秋にかけての期間です。種によって違いはありますが、セスジユスリカの場合、以下のようなサイクルで繁殖します。

<セスジユスリカのライフサイクル>
産卵:1度に500個程度の卵を産む

卵期:産卵から2〜4日程度で孵化

幼虫期:孵化から2〜3週間、水底の泥の中で生活

蛹期(ようき):サナギの期間のこと。約2日間

成虫期:羽化後、約1週間

交尾・産卵:一度の産卵で親のセスジユスリカは寿命が尽きてしまう

●ユスリカの発生しやすい場所
光に誘引されやすい性質を持っているため、街灯や民家から漏れ出る光に群がってきます。また、水場が繁殖場所となるため、自宅の周辺や庭、ベランダなどの近くに次のような場所や物がある場合は、ユスリカに遭遇する可能性が高いといえるでしょう。

・大きな河川や湖沼
・流れの緩やかな下水溝
・貯水池
・放置したままのバケツ
・受け皿付きの鉢植え

なお、これらはあくまでも一例であり、ユスリカはキレイな水質を好む種もいれば、汚れた水質を好む種もいるため、水さえあればどこにでも発生する可能性があると思っておきましょう。

●ユスリカによって引き起こされる健康被害
ユスリカを原因とする健康被害はいくつか挙げられますが、ここでは『ユスリカ喘息』という症状についてご紹介します。
河川敷や水路脇などでユスリカの大群を見かけたことはないでしょうか。これは通称『蚊柱』と呼ばれる、数百匹のユスリカが群れを成した状態で、不快に感じるかもしれませんが直接的な健康被害はありません。
しかし、ジョギングをしたり自転車で走ったりしている時、この蚊柱に突っ込んでしまうと、目、鼻、口などからユスリカが体内に入り込んでしまう恐れがあります。従来、ユスリカを吸い込んだとしても特に害は無いとされていたのですが、海外においてユスリカ喘息の症例が確認され、日本でも19歳の女性がジョギング中にユスリカを吸い込んだことによりユスリカ喘息を発症し、呼吸困難等の症状に苦しんだ事例が1985年に報告されています。事例は非常に少ないものの、蚊柱を見かけた際にはできる限り避けたほうが良いでしょう。

●『蚊柱』とは?
蚊柱はユスリカが繁殖する時期に見られる現象です。オスが数百匹程度の群れを作り、その中にメスが飛び込むことでお気に入りの相手を見つけ、交尾・産卵することを目的としています。ユスリカの成虫は食事が摂れないため、長くても1週間程度の命しかありません。蚊柱は効率よく強い子孫を残すための合理的な仕組みだと言えます。
日本では大きくても数メートル程度の蚊柱しか見かけませんが、海外では10メートルもの蚊柱が発生することも。

2. ユスリカの駆除方法は?

ユスリカ

自宅内や近所でユスリカが大量発生した場合、放置してしまうと様々な被害に遭う恐れがあるので早めに駆除することをおすすめします。 駆除の方法としては『殺虫剤』を使う方法と、『捕虫器』を使う方法の2つが一般的です。

●殺虫剤で駆除
殺虫剤はドラッグストアやホームセンターなど、様々な場所で入手できるので、常備しているご家庭も珍しくないと思います。1つご注意いただきたいのはゴキブリ用やダニ用などの殺虫剤があるように、ユスリカにはユスリカ用の殺虫剤を使わなければならないという点です。ユスリカに対して「家にある殺虫剤を噴射してもなかなか効果が出ないな…」と感じている方は、念のため対象となっている虫の種類を確認してみてください。

●捕虫器(電撃殺虫ライト)で駆除
マンションのベランダや共用部など殺虫剤の使用が望ましくない環境の場合は、『捕虫器』による駆除がおすすめです。捕虫器と聞いてもピンとこないかもしれませんが、コンビニエンスストアの店頭に以前はよく設置してあった、「青い光で虫をおびき寄せて、近づいてきた虫に電気を流して駆除する装置」と聞けばイメージできるのではないでしょうか。
家庭用の捕虫器は片手で持ち運べるサイズのものもあるので、使い勝手や状況に応じて適切な捕虫器を選びましょう。
また、捕虫器の貸し出しを行なっている自治体もあるため、お住いの自治体の制度を確認してみましょう。

3. ユスリカを発生させないための予防策

ユスリカ

ここまで、ユスリカの特徴や駆除方法を解説してきました。それらを踏まえた上で、最後にユスリカの発生を予防するためのお役立ち情報をお伝えします。

●植木鉢の皿やバケツなどに水たまりを作らない
先述のとおり、ユスリカには「水場があれば繁殖する」という特徴があります。
マンションには雨水の排水溝があるので定期的に掃除をしておきましょう。そして、ここで注意していただきたいのが『植木鉢、プランターの皿』や『バケツ』です。そのつもりがなかったとしても、水がたまったままの状態が続くと、ユスリカを引き寄せてしまうかもしれません。特にベランダやバルコニーなど、雨の影響を受ける場所に水をため込むことができるものを置いているご家庭は、置き場所や置き方を見直してみてください。

●用水路等に薬剤を散布してユスリカの幼虫を駆除する
用水路などからユスリカが大量発生している場合は、薬剤を散布して羽化する前に駆除する方法を取ることがあります。自治体によっては定期的に用水路へ薬剤散布をするなどの対策を行っているところもありますし、用水路や川は自治体などが管理者となっていることが多いため自身の判断で薬剤を使うことはせずにまずは自治体に相談をしてみましょう。

●玄関などの照明器具をLEDに切り替える
お手軽かつ効果的な対策が『照明をLEDに切り替える』方法です。ユスリカは光に含まれる紫外線に集まるため、紫外線量の多い白熱電球や蛍光灯から、紫外線を含まないタイプのLEDに切り替えると虫の誘引を防ぐことができます。電球タイプの照明器具であれば1000円程度でLEDに切り替えられることが多く、ユスリカ対策だけでなく光熱費の節約にも繋がりますので一石二鳥です。照明器具の本体ごと交換が必要な場合は費用の面で足踏みしてしまうかもしれませんが、すでにユスリカ被害に遭っているのであれば交換する価値はあるかもしれません。

ユスリカは季節や場所を問わず、どこにでも大量に発生する可能性があります。
・蚊柱を見かけた際には近付かない
・産卵に適した水場を作らない
・河川敷や用水路など自身の所有地ではない場所からの発生の場合、行政に相談をする
など、今回の記事を参考に、早期の適切なユスリカ対策をおすすめします。

■あわせてお読みください。
・大規模修繕工事終了!ベランダのお手入れ方法は?〜床編〜
・マンション共用部の悩み 雨水の水はけ問題とは
・ベランダを片付ける! やっかいな鳥のフン対策と掃除方法


■この記事のライター
大塚 麻里絵
建装工業株式会社 MR業務推進部所属
埼玉県出身 東京理科大学理工学部建築学科卒業
一級建築士・一級建築施工管理技士を有し、大規模修繕工事現場にも従事した経験のある女性技術者・ライター
※建装工業株式会社公式HPはこちら

(2022年10月31日新規掲載)
※本記事は掲載時の内容であり、現在とは内容が異なる場合ありますので予めご了承下さい。

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