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マンションにおける衣類の害虫対策! カツオブシムシが発生する原因と駆除方法

カツオブシムシ
数ヵ月ぶりに冬物の衣服を取り出してみたら、虫食いの穴が……。
そのような悲しい状況に遭遇したことがある人も多いのではないでしょうか。過去の記事「マンション収納を効率よく使うために ゴールデンウィークには衣替えを」で、衣類の虫食い対策には、衣替え時の行動が大切なことを紹介しました。

今回は、衣類害虫の代表格であるカツオブシムシ類の生態・駆除方法と、一年を通して衣服を守るポイント、衣類に穴が開いてしまったときの修復手段などをご紹介します。

目次
1. 虫食いが発生する原因は? 衣類害虫「カツオブシムシ」の生態を知ろう
2. 大切な衣類を守るには、一年を通した衣類害虫対策を
3.穴の開いた衣類は「かけはぎ(かけつぎ)」で直せる可能性も

1.虫食いが発生する原因は? 衣類害虫「カツオブシムシ」の生態を知ろう

カツオブシムシ
日本における代表的な衣類害虫は、カツオブシムシ類の「ヒメカツオブシムシ」「ヒメマルカツオブシムシ」と、イガ類の「イガ」「コイガ」という4種類です。
今回はその中のうち、カツオブシムシ類の2種類の特徴や生態について説明します。

カツオブシムシ類は、以下のような特徴を持っています。

●カツオブシムシ類の特徴
・幼虫はイモムシ、成虫になると甲虫になります。
・幼虫は暗い場所を好み、その名のとおり、かつお節や、他に粉ミルク、衣類などを食べる害虫です。
・成虫は明るい場所を好むため、光を反射しやすい白い布などに産卵することがあり、外出時に着ていた衣類や外に干した洗濯物といっしょに付いてくるのが、屋内への主な侵入経路です。

・ヒメカツオブシムシ:年に1回、5〜7月に産卵。体長:成虫・約4.5mm、幼虫・約10mm弱。成虫の体形は楕円形で体表に模様はなく、黒色が多い。
・ヒメマルカツオブシムシ:年に1回、4〜6月に産卵。体長:成虫・約2.5mm、幼虫・約4〜5mm。成虫の体形は楕円形で体表は茶・白などのまだら模様。
※成虫時の外見は異なりますが、性質はほぼ同じです。

カツオブシムシ類は一年のうち約9ヵ月を幼虫として過ごし、その時期に衣類を食べます。
また、いずれも気温15〜25℃、湿度60%以上の暗い環境で活発に活動し、衣類から出る繊維クズもエサにします。これらの衣類害虫やその卵がいったん家の中に入ってしまうと、完全に駆除しない限り、衣類が食べられてしまう可能性があるということです。

●成虫や幼虫を発見した場合の駆除方法
成虫を発見した場合には、市販の殺虫剤(スプレータイプ・くん煙タイプ)で駆除が可能です。
成虫は光に寄ってくる性質があるので、光式捕虫器も効果があります。成虫は衣服を食べることはありませんが、産卵をさせてしまうと後が大変なので、すみやかに駆除するようにしましょう。
幼虫を発見した場合も殺虫剤で駆除が可能です。発生源を特定したらその周辺を徹底的に殺虫処理しましょう。虫は熱に弱いため、スチームクリーナーなども非常に有効です。ただ、幼虫は暗所を好むため発見しにくく、卵には殺虫剤が効きにくいこともあり、一度発生してしまうと完全駆除はかなり大変です。
そのため、やはり部屋全体こまめな掃除・クローゼットの防虫剤活用など、日頃からの対策が重要となります。

2.大切な衣類を守るには、一年を通した衣類害虫対策を

カツオブシムシ
年間を通して室温が保たれやすいマンションでは、衣類害虫が一年中活動する可能性があり、それだけ虫食い被害も発生しやすくなります。したがって、一年を通してクローゼットの中などを、衣類害虫が好まない環境にしておきましょう。具体的には、次のような対策がおすすめです。

《クローゼット内の衣類害虫対策》
・外出時に着た服は、洗濯・クリーニングをしていない状態ではクローゼットに入れない。
・外干し後の衣類には、衣類害虫の成虫や卵がついている可能性があるので、表面をブラッシングしてから収納する。
・綿埃もエサや産卵場所になるので、クローゼットなど収納の中をこまめに掃除する。
・湿気がこもらないように、時々クローゼットの扉やタンスの引き出しを開けて風を通す。
・防虫剤は、収納の容量によって製品ごとの適切な使用量が異なるので、クローゼットや収納ケースなどのサイズに適した分量を使う。
・防虫剤は使用期限が来たら忘れずに取り替える。
・防虫剤の効果がクローゼット全体にいきわたるように、衣類の収納量は8割程度に抑える。
・収納ケースに衣類を詰め込みすぎず、収納量の8割程度に抑える。
・一着衣類を買ったら必ず一着捨てる、を心がけて、クローゼットが満杯にならないようにする。

3.穴の開いた衣類は「かけはぎ(かけつぎ)」で直せる可能性も

カツオブシムシ
もし大切な衣類が虫に食われるなどして、穴や傷ができてしまったら……。非常にショックな状況ですが、あきらめきれない場合は、ある程度コストはかかりますが修復する手段はあります。
それは「かけはぎ(かけつぎ)」という布地に開いた穴や傷をふさぐ技術です。
専門の職人が、修復する衣類と同じ糸と生地(共布)を使って、元の状態になるように繊維の1本1本を丁寧に織り込んでいくというもので、生地の種類によっては修理の痕がまったくわからなくなることもあるそうです。
硬い生地や薄い生地、光沢のある生地などは修理痕が残りやすい衣類もあるようですが、どうしても直して使いたい衣類があったら、一度かけはぎの専門業者に相談してみてはいかがでしょうか。
ちなみに関東では「かけはぎ」、関西では「かけつぎ」といいますが、どちらも同じ意味です。

もし対策を行っても衣類害虫の発生を防げず、発生源を特定できない場合は、専門業者に衣類害虫駆除を依頼することを検討しましょう。
衣類害虫は、上質な衣類ほど虫食いのリスクが高いといわれています。大切な衣類を守るためにも、日ごろから衣類害虫を発生させない環境づくりを怠らないようにしましょう。


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《この記事のライター》
熊谷 皇
建装工業株式会社 MR業務推進部所属
千葉県出身。鹿児島大学院工学研究科建築学専攻終了。専門は建築環境(温熱環境性能、住宅の省エネ性評価等)。住宅の省エネ基準検討WGの委員、建築環境省エネルギー機構・日本建築センター・職業能力開発総合大学校等の講習会講師の経験を持つ技術者。ライター。

(2021年3月29日記事更新)

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