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IT導入で実現する新しい自治会のカタチとは? マンション自治会役員のなり手不足問題への対策

マンション 自治会

少子高齢化が進む日本では、単身高齢化対策や災害対策のひとつとして総務省や地方自治体が自治会の持続可能な運営に向けて取り組んでいます。マンションには管理組合に加えて自治会も存在する場合があります。
自治会は、災害時に地方自治体の関連団体として扱われてセーフティーネットに組み込まれるため、マンションの防災対策として有効です。
一方、自治会運営はその負担が大きいことから役員のなり手不足が課題といわれています。これを解決するために注目されるのが、IT導入です。
今回は、マンションの自治会運営におけるIT導入のアイデアについてご紹介します。

目次
1. 見直されている、マンションでの自治会運営 持続性のための課題
2. 自治会にIT導入 メリットと問題点を知っておこう
3. 自治会が地域の発展に貢献 マンションにおけるアイデア事例

見直されるマンションでの自治会運営 持続性のための課題

マンションには管理組合に加えて自治会も存在する場合があります。管理組合は区分所有法に基づいたマンションの維持管理を行う組織で、マンション購入後、区分所有者が必ず加入するものです。
一方、自治会は地方自治法により規定される、行政との橋渡し役として地域のさまざまな活動や近隣住民との親睦を目的とした組織で、加入は任意です。
江東区による平成26年(2014年)の調査結果では、全国の分譲マンション全体で自治会に「100%加入している」と答えた割合は全体の48.3%と約半数程度でしたが、令和3年(2021年)には27.9%と低下傾向でした。
マンション実態調査報告書 地域からみたマンションの現況に関する調査(2021年 江東区

地球温暖化に起因する豪雨災害や度々起こる大地震、災害への備えという観点から考えるとマンションでの自治会は有効な備えです。災害時の安否確認は自治会単位で行われ、自治会がない場合は見過ごされてしまう懸念があるからです。また、マンションでは、住民の相互関係が希薄になりがちでということもあることから、自治会への加入により、コミュニティーの構築が期待されます。

しかし、いざ自治会の設立において課題となるのが、資金調達と役員のなり手不足です。これを解決するのがITの活用です。

自治会にIT導入 メリットと問題点を知っておこう

マンション 自治会

自治会の運営は住民から選ばれた役員が行いますが、仕事と掛け持ちするケースがほとんどです。無理のない自治会運営には役員にかかる負担の軽減が必須であり、そのためにITの活用が有効です。

マンション 自治会

・コミュニケーションツールでの話し合い:全員が同じ時間に集まる必要がない
・クラウドでのデータ管理や共同作業:データを一元管理し共同作業がしやすい。各々が都合のいいタイミングで修正や閲覧が可能
・回覧板の代わりにチャットアプリを活用:訪問や電話をする必要がなく、スピーディーな情報伝達が可能
・ビデオ会議によるオンライン役員会やオンライン総会:どこにいても参加が可能で出席率向上に期待

このほかにも、自治会運営のIT活用には以下の例があります。
・SNSやアプリを活用した出欠確認や非常時の安否確認
どこからでも対応が可能。データ更新がしやすい。
・電子決済による自治会費の徴収
 徴収する側は訪問やお釣りの用意が不要。払う側は時間を選ばず支払いができる。
・ホームページでの情報発信
 過去の記録が残り、役員の引継ぎもスムーズになる。

一方で、IT導入には以下のような課題があります。メリットとデメリットを総合的に踏まえて導入を検討しましょう
・IT導入時にはこれまで作成された紙の情報をデータ化する必要があるため、データ入力かスキャナでの読み込み作業に時間と手間がかかる
・IT機器の使用に苦手意識や難色を示す人へのフォローが必要
・クラウド上で住所や電話番号などの個人情報を保管・やり取りする場合には、適切なデータ管理が必要
・任期満了に伴う役員の入れ替えによってスキルにばらつきが出る

自治会が地域の発展に貢献 マンションにおけるアイデア事例

マンションでの自治会の設立は、マンション内のコミュニティー強化や災害対策の他に、近隣地域のイベントや活動への参加や支援を通じた連携強化など、地域社会全体の発展に貢献することができます。

マンション 自治会

ITの活用は、会員名簿や備品管理、配布物の管理を効率的に行えます。クラウド上で情報共有すると複数の役員が自宅にいながら最新データの更新や一元管理がしやすくなるため、役員の負担軽減にもつながるのです。
災害用の保存食管理アプリを採用すれば賞味期限切れの前にリマインドが送られるので、いちいち確認することなく保存食の入れ替えができます。
また、日本語での会話が困難な外国人会員とのやりとりに翻訳ツールを活用することで、スムーズな情報伝達も可能になるでしょう。

ITの活用は、魅力あるイベント開催につながる新たな可能性もあります。
動画やライブ配信、ショートムービーを撮影することで若い人たちに興味を持ってもらい、そこから地域の活動につなげられると、希薄になりがちなマンションの住民同士の交流が深まるかもしれません。

動画配信の事例
のぞいてみよう! クリスマスイベント紹介 潮路東ハイツ大規模修繕工事

また、自治会の活動は、マンション価値の向上にも貢献します。たとえば、マンション自治会で地域の自治会とともに企業に働きかけ、空港バスや路線バスの停留所の誘致を行った例もあります。
地方自治体によっては自治会を対象とした高齢者のSNS講習会開催など公的な支援を受けることもできます。行政組織の一員として高齢者の一人暮らしや地域の困りごとを手助けするのも地域貢献にもなりますし、自治会に若い世代や女性の役員が増えれば、運営や防災訓練などにも多角的な意見が取り入れられるので、より住みやすい街やマンションの環境づくりにも貢献できます。

このように自治会の運営において積極的にITを導入することは、役員の負担を大幅に軽減するとともに、コミュニティー強化、地域社会への貢献、資産価値向上など様々な品質を高めることができる可能性があります。
積極的なIT導入という視点で、これから時代の自治会運営のカタチについて検討してみてはいかがでしょうか。

■あわせてお読みください。
・マンションで自治会に入るメリットはあるの? 管理組合との関係は?
・マンション管理組合と自治会の違いとは
・マンション管理の「第三者管理方式」とは? 増加している理由とメリット・デメリットについて
・マンション防災 自主防災組織はあったほうがいい?
・管理組合に聞く 住民主体による大規模修繕工事とコミュニティ活動でマンションを100年持たせる取り組み 〜労住まきのハイツの事例〜(後編)
・災害発生時に必要となる住人の自助と共助。あなたのマンションは大丈夫ですか?


■この記事のライター
熊谷 皇
国立大学法人 鹿児島大学院工学研究科建築学専攻終了。専門は建築環境工学(温熱環境、省エネ等)。国土交通省 住宅の省エネ基準検討WGの委員、建築環境省エネルギー機構(IBEC)・日本建築センター(BCJ)・職業能力開発総合大学校等の講習会講師、日本建築ドローン協会(JADA)のWG等の委員を歴任。

(2024年5月13日新規掲載)
※本記事は掲載時の内容であり、現在とは内容が異なる場合ありますので予めご了承下さい。

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