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マンションでの防災対策。一年に一度の備蓄の日に日常備蓄をチェック!

防災対策

地震や台風などの自然災害が多い日本では、常に自然災害の被害に備えておく必要があります。近年、自然災害に配慮したマンションが増加し、マンションの居住者については在宅避難を推奨する自治体も増えてきています。自然災害に強いマンションでは、いざという時のための備蓄が特に大切になってきます。今回は、自然災害が起きた場合に役立つマンションでの防災対策と、備蓄の準備のポイントをご紹介します。

目次
1. マンションはより切実! いつ発生するかわからない災害に備える
2. 何を備蓄しておけばいい? おすすめの日常備蓄
3. ローリングストックで日常的に備蓄を見直す

1. マンションはより切実! いつ発生するかわからない災害に備える

防災対策

2011年に起こった東日本大震災、そして熊本や北海道など日本各地で震災が相次いだことから、「災害はいつどこで発生してもおかしくない」と防災に対する関心や注目度が高まっています。

東京都では2005年に、首都直下型地震などの大規模災害への備えを家庭で考えるきっかけにしてもらおうと「1年に1度は備蓄(びち[1]く[9])の確認」という意図を込めて、11月19日を「備蓄の日」としました。そして東京都だけでなく、全国各地の自治体が「日常備蓄」「在宅避難」をキーワードとした啓蒙活動を進めています。

一方、内閣府が2017年に行った「防災に関する世論調査」によれば、大地震に備えて食料や水、日用品などを準備している人は45.7%とのことで、まだまだ備蓄をしている人は半数以下と十分に浸透しているとはいえません。

マンション特有のリスクとして、災害時のエレベーター停止があります。エレベーターが停止した場合は、階段を使わざるをえず、特に4〜5階より上層階の居住者は、長い距離の上下移動を強いられます。そのため外出自体が不便になり、食料品や日用品の補充など、災害後の生活に支障が生じやすくなります。

そのように考えると、水道や電気などのライフラインが使えなくなった時のために、必要なものを各家庭で備蓄しておくことはマンションでは特に大切なのではないでしょうか。

2. 何を備蓄しておけばいい? おすすめの日常備蓄

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防災対策として必須ともいえる備蓄。どのようなものをどれくらい備蓄しておくといいのでしょうか。

まず必ず準備しておきたいのは食料品と飲料です。
大きな災害が発生して、物流や水道・電気といったライフラインがストップした場合、食料や水の確保は困難となります。常に最低3日分、できれば7日分以上を備蓄しておきましょう。
備蓄が最低3日分必要な理由は、災害発生後72時間(3日間)は救命救助活動が優先されるためです。また、過去の事例では、災害発生時から物流やライフライン復旧までに7日間以上かかるケースが多くみられたため、内閣府では7日分の備蓄を推奨しています。

食料品はレトルト食品、缶詰、即席麺など日持ちの良いものをメインに揃えましょう。栄養を補助するサプリメントや調味料なども備蓄しておくと安心です。
また、クーラーボックスをひとつ用意しておくと、停電になった場合でも冷蔵庫内の食材を保冷剤とともに移すことで、食材を無駄にせずに活用することができます。
下記は農林水産省が作成した家庭備蓄の例です。

また、備蓄しておくと便利なのが、ラップとポリ袋です。断水時、ラップを食器の上に重ねて使うと食器が汚れないので洗う手間がかからず、包帯がわりにも使用できます。ポリ袋は食材の調理の際に使用したり、貴重品入れ、手袋替わり、非常用トイレなどさまざまな用途で使用できたりするので多めにあるとよいでしょう。

「マンションだから収納スペースがない」という場合は、備蓄しやすくするよう工夫しましょう。たとえばトイレットペーパーは芯を抜いてつぶし、省スペースで保管する、旅行用のスーツケースにまとめて備蓄用品を入れておくといった方法がおすすめです。
また、新しい生活様式のなかで必須ともいえるマスクのストック、女性がいる場合は生理用品なども忘れずに備蓄しておきましょう。

《備蓄しておきたいもの 例》
・食料品(最低3日分×家族の人数)
・飲料(最低3日分×家族の人数)
・サプリメント
・調味料

・クーラーボックス
・マルチツール
・救急箱、常備薬
・懐中電灯、乾電池
・LEDランタン
・携帯用充電器
・手回し充電式ラジオ
・カセットコンロ、カセットボンベ
・点火棒

・軍手、ビニール手袋
・非常用トイレ
・トイレットペーパー
・ティッシュペーパー
・ウェットティッシュ、ボディタオル
・歯磨き用ウェットティッシュ
・生理用品
・基礎化粧品

・ラップ
・ポリ袋
・布製ガムテープ
・使い捨てカイロ

・リュックサック
・給水袋
・ブルーシート
・新聞、段ボール
・折りたたみスリッパ
・マスク
・アルコールスプレー

備蓄に関する情報を積極的に集めるのもいいでしょう。東京都が運営する「東京備蓄ナビ」は、家族構成や戸建・マンションごとにおすすめの備蓄品や備蓄しておきたい量を紹介していますので、チェックしてみてください。

3. ローリングストックで日常的に備蓄を見直す

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備蓄品を一式準備できたら、次の段階としてローリングストックを実践してみましょう。
ローリングストックとは、買いだめした食料品や飲料を日々使用し、使った分だけ新しく買い足して常に一定量の食料品や飲料を備蓄しておく方法です。

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ローリングストックをスムーズに進めるポイントは、次の2つです。
・ 古いものから順に消費すること
・ 使ったら同じ量だけ買い足して減らさないこと

安売りしていたからと大量に食料品や飲料を購入することは、消費する前に賞味期限が来て廃棄することになりかねませんので避けましょう。

ローリングストックを実践する場合、年に一度、備蓄内容をチェックする習慣をつけるといいですね。忘れないように、11月19日の備蓄の日に必ず備蓄している食料品や飲料の賞味期限を確認すると良いでしょう。適切に消費・買い足しをする癖をつけて、備蓄品が常に新しい状態であるよう維持していくと安心です。

自然災害はいつ発生するかわからないので、日頃からの備えが大切です。特にマンションの高層階では、電気・ガス・水道などが止まると生活に大きな影響を及ぼしますので、できることから備蓄を実践していきましょう。

<参考>
東京都防災ホームページ
農林水産省 災害時に備えて食品の家庭備蓄を始めよう
一般財団法人日本気象協会 知る防災 基本編(備蓄)

■あわせてお読みください。
・ 風水害に備えた自分専用の防災計画を! 「マイ・タイムライン」の作り方
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■この記事のライター
熊谷 皇
建装工業株式会社 MR業務推進部所属
千葉県出身。鹿児島大学院工学研究科建築学専攻終了。専門は建築環境(温熱環境性能、住宅の省エネ性評価等)。住宅の省エネ基準検討WGの委員、建築環境省エネルギー機構・日本建築センター・職業能力開発総合大学校等の講習会講師の経験を持つ技術者。ライター。
※建装工業株式会社公式HPはこちら

(2021年10月25日新規掲載)
※本記事は掲載時の内容であり、現在とは内容が異なる場合がありますので予めご了承下さい。

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