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風水害に備えた自分専用の防災計画を! 「マイ・タイムライン」の作り方

マイタイムライン

毎年のように全国各地で大規模な風水害が発生しています。マンションは比較的風水害に強いといわれていますが、場合によっては避難が必要になることもあります。そのようなときに役立つのが自分専用の防災行動計画、いわゆる「マイ・タイムライン」です。
現在、国や自治体が主導となり、住民が「マイ・タイムライン」を作る取り組みが推進されています。
今回は、「マイ・タイムライン」の必要性や、風水害リスクや防災情報をもとに「マイ・タイムライン」を作る方法について、ご紹介します。

目次
1. 「マイ・タイムライン」とは? なぜ必要なのか
2. まず、住んでいる場所の風水害リスクと防災情報の入手法を知る
3. 「マイ・タイムライン」の作り方

1. 「マイ・タイムライン」とは? なぜ必要なのか

マイタイムライン

「マイ・タイムライン」とは、洪水のような進行型災害が発生した際に、「いつ」「何をするのか」を整理した、国土交通省や各自治体が普及を進めている個人的な防災行動計画のことです。

各地で毎年のように大規模な洪水が発生している今、「自分の命も、家族の命も自ら守る」という意識を持つことが大切になってきたといわれています。みなさんは、自分が住んでいる地域の風水害リスクを認識しているでしょうか。

国土交通省が行った「平成30年7月豪雨による水害・土砂以外からの避難に関するワーキンググループ第1回(平成30年10月16日)」において、兵庫県立大 阪本教授の調査によると、自然災害による被害予測範囲を地図化した「ハザードマップ」の存在は75%の人が知っていたものの、内容を理解している人は24%に留まることがわかりました。

また、静岡大学 牛山教授による調査によれば、洪水の可能性がある低地の居住者でさえも、約7割が洪水の危険性を楽観視しているという結果が報告されています。

これまで日本では、多くの人が風水害の被害にあってきました。自分の住む地域に関する風水害リスクについて十分に把握し、対策を準備する人が増えれば、今後の風水害による被害を減らしていくことができるでしょう。そのためには、各人がハザードマップなどで居住地域の風水害リスクを把握し、風水害発生時には状況に応じてどのような行動をとるかを事前に調べて考え、整理しておくことが大切です。

「マイ・タイムライン」を作っておけば、いざというときに慌てずに、スムーズに避難行動をするための一助になります。自分だけではなく家族の命を守ることにもつながりますので、家族で話し合って作成をしてみてはいかがでしょうか。

2. まず、住んでいる場所の風水害リスクと防災情報の入手法を知る

マイタイムライン

「マイ・タイムライン」は、居住地域の風水害リスクと防災情報をもとに作ります。そのために、まずはこれらの情報を入手する必要があります。
風水害のリスクについては、各自治体が作成する洪水ハザードマップで確認できます。各地のハザードマップは市区町村ホームページや、国土交通省が運営するハザードマップポータルサイトで提供されています。

ハザードマップポータルサイトでは、地図上に洪水や津波などのリスク情報、道路防災情報などを重ねて見ることも可能です。
マンションに住んでいる場合は「在宅避難」を選択する場合も多いと思いますが、風水害の状況によっては何日も閉じ込められる可能性もあるため、周囲の避難所の確認もしておきましょう。

また、風水害の状況により、どのような行動をとる必要があるか知っておきましょう。気象庁では「防災気象情報」をもとに警戒レベルごとのとるべき行動(避難指示)を定めており、気象庁や内閣府のホームページで確認できます。

気象庁 防災気象情報と警戒レベルとの対応について
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/bosai/alertlevel.html
内閣府 避難情報に関するガイドラインの改定http://www.bousai.go.jp/oukyu/hinanjouhou/r3_hinanjouhou_guideline/

さらに、実際に風水害の発生が予想される状況になった場合に、防災情報を取得する方法についても事前に確認しておきましょう。

例えば、防災情報はこのようなメディアにより発信されます。
・テレビ(dボタン):身近な防災情報を確認できる
・気象庁、各自治体ホームページ:防災の項目をよく確認しておく
・自治体ラジオ、SNSなど:自治体運営の情報発信メディアがある場合はチェック
・防災行政無線:聞き取りづらい場合は、電話で確認が可能な自治体も(自治体ホームページで番号確認)

万一停電しても確実に情報を得られるよう、乾電池式・手回し充電式のラジオやスマホの充電器などを用意しておきましょう。

3. 「マイ・タイムライン」の作り方

マイタイムライン

居住地周辺の風水害リスクと防災情報の確認法を認識できたら、次は「マイ・タイムライン」の作成に挑戦してみましょう。
少し難しく感じるかもしれませんが、心配はいりません。多くの自治体が「マイ・タイムライン」の作成方法やフォーマット(用紙)を提供しているので、地元の自治体のホームページをチェックしてみましょう。もしくは、国土交通省関東地方整備局のホームページで提供されている、ネット上で「マイ・タイムライン」を作る「Webでマイ・タイムライン」や、小中学生向けの「マイ・タイムライン」作成ツール「逃げキッド」を利用するのも良いでしょう。国土交通省作成の「マイ・タイムラインかんたん検討ガイド」もわかりやすい内容なので参考資料としておすすめです。

「マイ・タイムライン」の作成方法やフォーマットを入手したら、次の手順で「マイ・タイムライン」作りを進めます。

《「マイ・タイムライン」作成 大まかな手順》
1) 洪水ハザードマップを参考に避難場所と自宅からの経路を調べましょう。
2) マンションの2〜3階以上に住んでいる場合は在宅避難になることも多いですが、地域によっては3〜4階まで水没し、2週間以上その状態が続くこともあります。その場合は別の場所への避難が必要です。
3)防災気象情報を参考にどのタイミング(警戒レベル)でどのような行動をとるか、自ら考え、家族とも相談しながら用紙にまとめていきます。マンションでの在宅避難のケースも想定しておきましょう。その場合、停電・断水の可能性も考えておくべきです。
4)避難の方法は家族構成や年齢など個人的な変化、また他のさまざまな要因によって変わってきます。作成した「マイ・タイムライン」は定期的に見直すようにしましょう。

風水害はいつやってくるかわかりません。「マイ・タイムライン」作りは個人レベルでできる防災行動対策ですので、早めに作成しておきたいところです。

また、建装工業ではマンション地下の電気施設を守る浸水対策工事も請け負っています。
マンションの停電リスクを低減する、電気施設の浸水対策に関心がある管理組合の方は、ぜひお問い合わせ・ご相談ください。

■あわせてお読みください。
・マンションでの防災対策。一年に一度の備蓄の日に日常備蓄をチェック!
・新避難情報開始へ(災害対策基本法等の一部を改正する法律)
・マンション管理組合が取り組むべき水害対策とは
・マンション防災 自主防災組織はあったほうがいい?
・マンションバルコニーのお手入れをしておけば、台風の季節も安心?
・災害発生時に必要となる住人の自助と共助。あなたのマンションは大丈夫ですか?


■この記事のライター
熊谷 皇
建装工業株式会社 MR業務推進部所属
千葉県出身。鹿児島大学院工学研究科建築学専攻終了。専門は建築環境(温熱環境性能、住宅の省エネ性評価等)。住宅の省エネ基準検討WGの委員、建築環境省エネルギー機構・日本建築センター・職業能力開発総合大学校等の講習会講師の経験を持つ技術者。ライター。
※建装工業株式会社公式HPはこちら

(2021年10月11日新規掲載)
※本記事は掲載時の内容であり、現在とは内容が異なる場合がありますので予めご了承下さい。

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