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断熱リフォームをすれば、冬も夏も快適に 電気代の節約にも!

断熱 リフォーム
冬は寒く夏は暑い……室内がこのような状況であれば、もしかすると断熱性の低い建物なのかもしれません。
断熱性が低いと冷暖房費用もかかり、何より快適に生活することができません。断熱リフォームをお考えの方も居られることでしょう。
そこで、今回は断熱リフォームについて、分かりやすくご紹介したいと思います。

目次
1. 断熱の工法は大きく分けて2種類
2. 外断熱リフォームのメリットとは?
3. 内断熱のメリット・デメリット
4. 断熱リフォームのメリット・デメリットを理解した上で検討しよう

1. 断熱の工法は大きく分けて2種類

断熱リフォームの工法には、大きく分けて以下の2種類があります。

・外断熱
・内断熱

まずは、この2種類がどのような断熱工法なのかをご説明します。

○外断熱
外断熱とは、断熱材を家の壁や屋根部分に施工する工法です。外断熱は外張り断熱工法を採用しており、パネルなどを外側から張ることで断熱する工法になります。
外張り断熱工法は、主にプラスチック系の断熱材を利用し外気の冷気や熱気をカットすることで、なるべく外気の影響を受けない建物にするのが目的です。

○内断熱
内断熱は、充填断熱工法により、家の壁や天井の内側に以下のような断熱材を施工します。

・グラスウール
・ロックウール
・セルロースファイバー
・ポリスチレンフォーム
・ウレタンフォーム

内断熱の場合は、上記のような繊維系の断熱材を利用することが多く、それぞれに特徴があります。例えばグラスウールはリサイクルガラスを高温で溶かして繊維状にまとめているので、素材的に火にも強く、コストパフォーマンスの高い断熱材として認知されています。

外断熱が「建物を外から覆う」のに対し、内断熱は「建物の内側に断熱材を施す」という施工法になります。

2. 外断熱リフォームのメリットとは?

では次に、外断熱リフォームのメリット・デメリットを解説していきます。

○外断熱リフォームのメリット
外断熱リフォームのメリットには以下の点などが挙げられます。

・断熱性が高い
・室内の広さが変わらない
・建物の長寿命化を図れる

外断熱は建物の外側に断熱材を敷き詰めるので気密性が高く、内断熱よりも断熱性が高くなりやすい傾向にあります。その結果、結露もしにくくなり、建物全体を覆うことで躯体の保護にもつながるため、建物の長寿命化効果も期待できます。また、部屋の広さが変わることがないのもメリットです。

マンションなどの集合住宅で外断熱を採用したい場合は、共用部の変更にあたるため大規模修繕工事のタイミングで施工するなどの検討が必要です。

施工前

外断熱施工後

○外断熱のデメリット
一方、外断熱には以下のようなデメリットもあります。

・コストが高い
・工期が長い
・建物の形状によっては実施できない可能性も

外断熱に使用するプラスチック系の断熱材は、内断熱で利用する繊維系の断熱材に比べて高価な傾向にあります。また、建物の外側から施工するということは、足場を組む必要があり、比較的大がかりな工事になります。そのため、トータルでのコストが高く、工期も長くなりやすい点がデメリットと言えます。

ほかにも、外断熱の場合は、断熱材を外張りするので単純に家全体が大きくなります。そのため、建ぺい率をフルで消化している物件では、規模的に外断熱リフォームができない可能性もでてきます。

3. 内断熱のメリット・デメリット

内断熱
つづいて、現在の日本では主流の断熱工法である、内断熱のメリット・デメリットについて紹介します。

○内断熱のメリット
内断熱のメリットには以下の点が挙げられます。

・コストが比較的安い
・工期が比較的短い

内断熱の場合は、外側に足場を組んで工事をする必要がなく、使用する素材も外張りパネルより安価な傾向にあります。そのため、トータルのコストも安くなり、工期も外断熱リフォームよりは短期間で済むことが多いのがメリットとなります。

○内断熱のデメリット
・断熱性が外断熱に比べてやや低い
・室内空間の広さが変わる場合がある

外断熱と比較すると内断熱は断熱性がやや低くなると言われています。外断熱のように建物全体を包むことができないため気密性に差がでるほか、内断熱で使用される繊維系素材は自重によりずれることがあり、断熱材と躯体の間に隙間が発生して、結露ができる可能性があるためです。
そのため、外断熱の方が断熱性は高くなるケースが多いと言えます。

また、内断熱は壁や天井の内部に断熱材を充填するタイプが多いので、基本的には壁や天井の位置は変わりませんが、構造によっては壁の仕上げ面や仕上げ線などを大きくして前に出す必要があったり、部屋の中の壁に貼るタイプの断熱材の場合は、室内空間が狭くなってしまう可能性があります。

マンションなどの集合住宅で内断熱を採用したい場合は、主に専有部の工事となるため所有者の方が実施することになります。
結露等がひどく壁紙にカビが生えてしまうことがある北面のお部屋の窓側などで断熱材を入れたリフォームをすることもあります。

4. 断熱リフォームのメリット・デメリットを理解した上で検討しよう

断熱リフォームをすると、冬は暖かく夏は涼しく過ごせる上に、電気代の節約をすることができます。家の中での急激な温度変化によるヒートショックなどの健康被害も起きる可能性が低くなりますので、高齢者がお住まいの家では積極的に導入したいところです。
また、結露防止に効果的なので壁やタンスの裏がカビだらけになってしまう場合も断熱性を向上させたほうが効果的です。アレルギーや喘息防止に役立ちます。
断熱工法の種類によるメリット・デメリットを理解した上で、目的や建物にあった断熱リフォームの導入を検討してみましょう。


《この記事のライター》
大塚 麻里絵
埼玉県出身 東京理科大学理工学部建築学科卒業
一級建築施工管理技士を有し、大規模修繕工事現場にも従事した経験のある女性技術者・ライター

(2019年3月1日記事更新)

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