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いま話題のドローンでマンション大規模修繕が変わる?

ドローン 大規模修繕

1. ドローンとマンションの関係とは



「空の産業革命」と呼ばれ注目されているドローン。さまざまな分野での実用化が進められていますが、建設や不動産の分野でも活用が期待されています。ここで特に注目したいのが、高層・超高層マンションの管理や大規模修繕での利用です。

特にタワーマンションとも呼ばれる超高層マンションは1990年代末ごろから数多く建てられるようになりました。そして、そのうちの多くのマンションが大規模修繕の時期を経験、もしくはこれから迎えようとしています。通常のマンションに比べ、タワーマンションの大規模修繕は費用も含め何かとむずかしい点が多いものです。しかし、今後はそうした大規模修繕が、ドローンの活用によって変わると言われています。

そこで、実際に、どのようにドローンの活用が期待できるのか、またどんなメリットがあるのかお話ししたいと思います。

2. ドローンって、どんなもの?

まずはその前に、そもそもドローンとはどのようなものかを簡単に確認しておきましょう。航空改正法によると、ドローンは遠隔操作あるいは自動操縦により飛行させることができる機器で、人が乗ることができないものと定義されています。このように聞くと、従来のラジコン飛行機やヘリコプターとどのように違うのか分かりづらいかもしれません。 ドローンとラジコンヘリなどとの大きな違いは、コンピューター制御により自律飛行できるといった点です。ラジコンのヘリコプターや飛行機は操縦者(人間)が目視できる範囲内だけで操縦し飛ばすことができます。これに対してドローンは、あらかじめ設定した飛行経路をプログラミングすることで自動的に目標の地点まで飛行させることが可能です。つまり、操縦者の目視できる範囲を超えて、ドローン自身の判断で障害物を避けながら飛ぶことができるのです。

このドローンにカメラを搭載し、WiFiなどの無線でパソコンなどとつなげば、人間が簡単に行けない場所を撮影し手元のモニターで確認できます。また、ドローンによる動画をリアルタイムに確認しながら操縦することも可能です。

3. タワーマンションの大規模修繕がむずかしい理由

高層・超高層マンションの大規模修繕が大変な理由のひとつに、事前の外壁の劣化診断のむずかしさがあります。通常のマンションであれば、地上から目視で劣化の状態を確認できますが、高層になるほど人間の目で把握することは極めて困難か、無理と言ってよいでしょう。また、低層階と高層階では、同じ年数を経ていても外壁の損傷の具合は違ってきます。したがって、目視できる低層階の外壁の状態を高層階にあてはめることはできません。

そのため、正確に調査するには、足場を組んだ上に作業員が乗りチェックすることになりますが、この足場の設置工事にはけっこうな費用が掛かります。タワーマンションでは、ゴンドラ足場と呼ばれる特殊な足場が必要で、さらに高額な費用となります。そこで、こうした方法に代わって、カメラを搭載したドローンで外壁の劣化診断をすることが検討されています。
ドローン 大規模修繕

4. ドローンの「目」でできること

ドローンが人間の「目」となり高層階の劣化調査をするわけですが、ドローンの動画をリアルタイムで確認しながら見たい箇所に近づく、俯瞰で見るといったことが可能なので、非常に効率よく調査ができます。調査中、住民もいっしょにドローン動画を見たり、住民みんなで録画のシェアをするのもよいでしょう。

また、近年は赤外線カメラにより目視では分かりづらい劣化や異常を見つける調査方法も開発されています。この赤外線カメラを可視カメラとともにドローンに搭載すれば、足場なしに劣化診断が出来る可能性が高く、調査精度も高まります。

これまで事前調査の足場代は修繕積立金の費用に含まれてきました。しかし今後は、ドローンの実用化によりこの費用が大きく節約できる可能性が高まります。

高層・超高層マンションの大規模修繕には専門的な技術やノウハウが必要で、施工できる業者も限られてきます。

これからの大規模修繕は、ドローンを含めた新しい技術の活用に期待したいですね。


《この記事のライター》
舘林 匠
北海道出身 飛行機の整備士を目指し、日本航空学園千歳校を卒業後なぜか建築の道へ。
一級建築施工管理技士、一級土木施工管理技士、宅建士をはじめ25の資格を有し、
バイク、ダイビング、DIY、料理など多趣味でちょっと飽きやすい性格。
最近はドローンにはまりプライベート機を3機保有している。
KENSO Magazine編集長 兼 ライター

(2018年11月1日記事更新)

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