毎週月曜日更新

毎週月曜日更新

タグ一覧

管理人との良好な関係が快適なマンションライフに 管理人の業務とは

マンション 管理人

人材不足が深刻さを増す中にあっても、快適なマンションライフに欠かせないのがマンションの管理人(管理員)です。マンションの管理人はトラブル対応やマンション管理、清掃などさまざまな業務を担う、とても頼りになる存在で、良好な関係を築くことはマンションの居住者にとって非常に重要です。管理人の業務について理解し、管理組合の一員、マンションの居住者として管理人とどのように付き合っていけばよいかを考えます。

目次
1. 管理組合、管理会社、管理人の関係 マンションの管理人の業務とは
2. マンションの管理人が行わない業務とは 管理会社と住民の橋渡し
3. 管理人の仕事がマンションの価値に? 管理人と上手く付き合うポイント

管理組合、管理会社、管理人の関係 マンションの管理人の業務とは

マンション 管理人 仕事

初めにマンションの管理組合、管理会社、管理人の役割と関係性、マンションの管理人それぞれの主な仕事について解説します。

●管理組合とは
マンションは戸建て住宅とは異なり、1つの建物を区分所有して多くの人とともに住むものです。それぞれの住戸は所有者が単独で所有し管理しますが、住戸の外にある壁や階段、エレベーター、建物全体を通る給排水管などは共同管理が必要となります。マンションの建物やその敷地内の共同管理部分を管理する団体が管理組合です。

管理組合は区分所有法という法律に定められており、分譲マンションを購入した全ての人が組合員(構成員)となります。購入したマンションの部屋を第三者に賃貸している場合であっても、所有者が管理組合に入らなければなりません。賃借人は管理組合に入る必要はなく、何らかの利害関係が発生した場合は管理組合に意見を述べることができます。

管理組合は、マンションという共同財産を所有者全員で住みやすい状態に維持する義務を担い、権利を守る存在ともいえます。なお、管理組合の運営は理事会が代表して行います。

●管理会社とは
管理組合から委託されてマンションの管理業務を請け負う専門の業者で、居住者が安全で快適に暮らせるよう、建物や設備を常に良い状態に保ち、資産価値の維持・向上を目指します。

建物が時間経過とともに劣化していくのはある程度やむを得ないことですが、所有者の誰もが「築年数が経っても魅力的で快適なマンションであってほしい」と願っているはずです。そのためには、状況に応じて適切にマンション管理を行っていく必要があるものの、経年劣化に立ち向かってマンションを良い状態に保つのは簡単なことではありません。管理会社は、マンションに関する豊富な専門知識に基づき、多忙な管理組合役員に代わって管理業務の重責を担ってくれるのです。

管理組合から管理会社への委託は、その度合いによって「全部委託」と「一部委託」に分けられます。「全部委託」とは、文字通り全ての管理業務を管理会社に委託するものです。理事会や管理組合総会のサポートなどにも幅広く対応してくれるので、大きなトラブルさえなければ管理組合の負担を最小限に抑えられますが、ワンストップで任せられるぶん委託費用は高くなります。対して「一部委託」はマンション管理業務の一部のみを管理会社に委託するもので、委託する業務の範囲はさまざまです。全部委託と比較すると委託費用は安く済みます。

※全部委託と一部委託については、下記の記事も参照してください。
マンション管理の3つの形態とは? それぞれのメリットとデメリットについて

●管理人とは
マンションで居住者が安心して暮らせるようサポートしてくれる人で、その多くは管理会社に所属し、管理対象となるマンションに派遣され実務を担います。
マンションの管理人の仕事内容は担当するマンションにより多少異なります。一般的にはマンション内共用部分の簡単な清掃やメンテナンス、ごみの搬出、掲示物などの管理、設備点検の立ち会い、巡回業務などのほか、入居者と管理会社との仲介役を務めたり、来客受付、入居者からの相談や苦情、トラブルの一次対応などを行います。

マンションの共用通路やエレベーターが常にきれいに保たれているなど、安全で快適に暮らせる環境が整っているのは、管理人がしっかり業務を遂行している証といえます。

マンションの管理人には幅広い年齢層の居住者への適切な対応が求められ、人生経験豊富な世代の管理人が多い傾向にあります。また、マンションには住民にさまざまなサービスを提供する「コンシェルジュ」がいる場合もありますが、管理人はコンシェルジュとはまったく異なり、担当するのは建物や敷地内の管理業務です。両者を混同しないよう注意しましょう。

マンションの管理人が行わない業務とは 管理会社と住民の橋渡し

マンション 管理会社

マンションの管理人は何でも頼める便利な存在というわけではなく、できる業務とできない業務があるため注意が必要です。管理人はマンションで暮らす私たちにとって大事な存在であるからこそ、業務範囲をしっかりと把握し、できないことを無理強いしないように心がけましょう。
一般的に、以下のような業務はマンションの管理人が行うものではないとされています。

・ごみの分別
・高所など危険な場所の清掃や電灯の交換
・不審者やチラシ配布者への注意
・住戸内の修理や修繕(蛇口の水漏れ、電球交換など)
・住民間のトラブル仲裁(騒音問題、ペット問題など)
・郵便物や宅配便の受け取り代行

マンションによって多少異なる場合もありますが、不審者やチラシ配布者への注意は警備員に任せるケースが多いでしょう。

管理人の仕事がマンションの価値に? 管理人と上手く付き合うポイント

マンション 管理員

マンションの管理人の仕事ぶりは、マンションの価値や住みやすさに大きく関わりますが、マンションがどのような状態に保たれていれば価値向上や快適な暮らしにつながるのでしょうか。

・エントランスや廊下、エレベーター、集合ポストなどの共用部分の管理が丁寧で劣化が少ない
・駐輪場やごみ置き場が整理整頓されている
・照明が切れていることがなく、夜になるとどこも明るく点灯している
・巡回により環境整備や安全確認が適切に行われ、防犯に役立っている
・雪が多い地域であれば、降雪時に通行に支障が出ないよう除雪されている

管理組合だけでマンションを適切に管理するのは難しいかもしれません。管理組合とマンションの管理人との連携が必要です。管理人に会ったら声をかけ合う、理事会の議題に応じて管理会社担当者や管理人にも出席してもらうなど、日頃からコミュニケーションを取っておけば、何かあったときに相談しやすい関係性を築けるはずです。

マンションの管理人は、その仕事ぶりによってマンションの価値が変わるともいえる存在で、年月を経ても劣化の少ない理想のマンションを目指すうえで重要なパートナーです。居住者、管理組合、管理会社、管理人の4者で上手く連携し、いつまでも快適に住み続けられるマンションにしていきましょう。

■あわせてお読みください。
マンション管理の3つの形態とは? それぞれのメリットとデメリットについて
マンション管理組合の役員って何をするの? マンションの資産価値を維持しよう(改定版)
大規模修繕工事の現場代理人って、何をする人?
マンションの防犯や資産価値に影響する管理のポイント
マンション管理組合と自治会の違いとは
マンション防災 自主防災組織はあったほうがいい?


■この記事のライター
□吉田 秀樹
建装工業株式会社 MR業務推進部 統括部長
愛知県出身 職能能力開発総合大学校(当時:相模原市)卒業
マンション管理士・一級建築施工管理技士・マンション維持修繕技術者を有し、大規模修繕工事の営業に従事した経験者
※建装工業株式会社公式HPはこちら

(2025年5月12日新規掲載)
*本記事は掲載時の内容であり、現在とは内容が異なる場合ありますので予めご了承下さい。

おすすめコンテンツ