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台風の季節到来!マンションでの対策は大丈夫?

マンション 台風
数十年に一度、と言われるような勢力の強い台風や豪雨が、近年連続して発生しています。タワーマンションの浸水による停電や、家屋の屋根の吹き飛びなどの様子が、ニュースでたびたび報道されています。

マンションにお住まいの皆様は、どのようなことに気を付けたら良いのでしょうか。今回は、起こりうる事例を取り上げながら、対策の方法をご紹介していきます。

目次
1. 窓ガラスの割れ
2. 雨樋の詰まりによる雨水の逆流
3. 排水能力を超えたために地下駐車場が浸水
4. 隔て板の割れ
5. その他のものの破損

1. 窓ガラスの割れ

マンション 台風
2019年の台風では、テレビで窓ガラスの割れ対策として、養生(ようじょう)テープを貼り付ける方法が紹介されました。イギリスの国旗、ユニオンジャックのようにテープを貼った窓を見かけた方もたくさんいらっしゃるでしょう。

窓ガラスの飛散防止のための対策としては、他にも次のような方法があります。これらは、あくまでも飛散防止のための措置です。ガラスが割れないようにする措置ではありません。

● 飛散防止フィルムを貼る
● 室内側から段ボールを貼る
● カーテンを閉める

窓ガラスは一般的にはマンションの共用部にあたります。
窓ガラスに何か手を加える場合には、あらかじめ管理規約を読んで制限があるかどうか確認しておきましょう。緊急で養生テープを貼った場合は、台風の後にはすぐ剥がしましょう。
直射日光を長く浴びたテープはきれいに剥がすのは困難です。

また、もし窓ガラスが割れてしまった場合に、別の部屋に移動できるようスニーカーなどの底の厚い靴をすぐ近くに置いておくと心強いです。

2. 雨樋の詰まりによる雨水の逆流

マンション 台風

オーバーフロー管の設置例(逆流が発生したため新設)

雨樋を流れた雨水は、地下にある雨水ますに流れ込みます。
屋上やベランダの排水口から雨水が集まりますが、途中に外気に開放された部分(穴のあいたフタをされた側溝など)がなければ、外気に触れずに雨水ますまで流れ込みます。
もしもこの経路が途中で詰まってしまうと、雨水が逆流して排水口から溢れてきてしまいます。金属製の手摺ではなく、コンクリート製の手すり壁に囲まれたベランダでは、こうした排水管内での詰まりに備えて、ベランダの手摺壁の下の方に「オーバーフロー管」というものが取り付けられています。
これにより、万が一雨水が排水口から逆流してきてしまっても、この管を通じてベランダの外に雨水が排出されます。排水口はもちろんのこと、オーバーフロー管も次の内容を点検しておきましょう。普段はあまり使っていないベランダ、キッチン外のサービスバルコニーや、あまり使っていないベランダも忘れずに確認しましょう。

● 排水口に落ち葉や泥が詰まっていないか。
● オーバーフロー管に落ち葉や泥がつまっていないか。
● そもそもオーバーフロー管は設置されているか。
● オーバーフロー管の高さはサッシレールの高さよりも低くなっているか。
マンション 台風

オーバーフロー管の役割と設置高さ

3. 排水能力を超えたために地下駐車場が浸水

マンション 台風
駐車場は地下にあるというマンションも多いのではないでしょうか。地下階の無いマンションでも、立体式駐車場があれば地下部分に車が入っていることになります。

こうした地下設備では、雨が降っても雨水が溜まらないよう、排水経路がきちんと確保されています。
しかし、近年記録されている豪雨のような想定外の雨量となると、設計時に確保した排水能力を超えてしまいます。こうしたマンションでは、次のような対策を取ることが出来ます。

● 止水板や土のう袋をマンションの設備として用意しておく。
● 排水ポンプを準備し、その時の排水経路を確認しておく。
● 止水板・土のう袋や排水ポンプを使用する時の基準の策定や、実際に使用する訓練をしておく。
● 雨水貯留槽を設置する。
● できれば車の移動先を各自で確保しておく。

4. 隔て板の割れ

ベランダで隣の住戸との間にある隔て板は、台風の強風によって割れてしまうことがあります。
最上階の角部屋など、強い風が吹く場所で特に破損しやすいです。ベランダは、火災の時に玄関から外に出られない場合に避難するための経路になっていることが多い場所です。
そのため、隔て板は緊急時には蹴破って通り抜けられるように作られています。こうしたことから、板が割れないように強固にすることは出来ません。

台風による隔て板の破損は、マンションの加入している保険が適用できることが多いです。ただし、自然災害による破損が条件になります。
個人の過失と取られないよう、普段から隔て板のまわりには物を置かないようにしましょう。置いてある場合には台風が来る前に片付けましょう。

5. その他のものの破損

台風の時には、思いがけないものが破損してしまうことがあります。
あおられそうなものは、長い目で見れば撤去してしまった方が安全です。例えば、次のような物が破損します。

● 共用廊下のエレベーター周辺に付けられた防風スクリーンの破損
● ベランダの手摺(風を受けやすい形状のもの)
● 落雷による屋上の金属類の破損(避雷導線や屋上ふち部分の金物)
● 屋根部材の風散(斜屋根に葺いてあるアスファルトシングルや金属)
● 看板類

自然災害による破損は、多くの場合保険を利用して修理することが出来ます。
しかし、破損しないに越したことはありません。各自の対策によって未然に防げる破損には、しっかりと備えておきましょう。


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《この記事のライター》
大塚 麻里絵
建装工業株式会社 MR業務推進部所属
埼玉県出身 東京理科大学理工学部建築学科卒業
一級建築士・一級建築施工管理技士を有し、大規模修繕工事現場にも従事した経験のある女性技術者・ライター

(2020年9月14日記事更新)

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