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台風シーズン到来! マンションでの対策は大丈夫? 〜室内対策編〜

毎年、日本列島を襲う台風。マンションにお住いの方にとっても事前の備えは欠かせません。建装マガジンではこれまで、バルコニーや共用部など、屋外における台風対策についてご紹介してまいりましたが、今回はご自宅の「室内」で実施可能な対策に焦点をあてました。
近年、地球温暖化の影響により、台風の勢力は増大し、同時に猛暑日も増加傾向にあります。これにより、台風と猛暑が重複する「複合災害」という新たな脅威が顕在化してきました。
特に、猛暑のなか、台風によって停電などライフラインが停止した場合に役立つ熱中症対策や万が一に備えておくべき備品など、室内における具体的な準備について詳しくご紹介します。
目次
1. 「猛暑下の台風」に備える室内対策の重要性
2. 停電・断水に備える室内の備蓄と設備チェック
3. 猛暑時の停電における熱中症対策と防災グッズ
4. 情報収集と連絡手段の確保
5. 家具・窓まわりの安全対策
「猛暑下の台風」に備える室内対策の重要性
近年、夏の台風被害は、強風や大雨の被害に留まりません。猛烈な暑さを伴う「猛暑のなかの台風」が、新たな脅威として顕在化してきました。厳しい暑さのなか室内で過ごすことが、熱中症のリスクを著しく高める可能性があります。
近年、夏季の台風被害は、強風や大雨のみに留まりません。猛烈な暑さを伴う「猛暑下の台風」が、新たな脅威として認識されるようになりました。このような状況下において室内で過ごすことは、熱中症のリスクを高める可能性があります。
台風が近づくと、強風によって室内に雨が吹き込むのを防ぐため、窓を閉め切る必要があります。これにより室内に熱がこもりやすくなるほか、台風の影響で停電が発生すると、エアコンが使えなくなり、またマンションの給水ポンプが停止することで断水が生じる可能性もあります。こうした複合的な要因により、室内環境は悪化し、熱中症発症のリスクが一気に高まることになります。
このような台風と猛暑という複合的な災害リスクに備えるためには、停電や断水が発生した場合でも、室内で安全に過ごすための対策が不可欠です。多くの自治体では、耐震性・耐火性に優れたマンションで暮らす方に対し、災害時に避難所よりもプライバシーや衛生を確保しやすい「在宅避難」を推奨しています。そのため、特にマンションにおいては、各ご家庭における日頃からの備えがより一層重要となります。
停電・断水に備える室内の備蓄と設備チェック

本章では、台風発生時に在宅避難で安全に過ごすため、各ご家庭で実施可能な対策をご紹介します。
まず、飲料水は、ご家族1人あたり1日3リットルを目安とし、最低でも3日から7日分を用意しておきましょう。
水がなくても使える非常用トイレも、家族の人数分を備蓄しておくと安心です。これらはポリ袋と凝固剤がセットになっており、自宅の便器に取り付けて使い、使用後は袋ごと可燃ごみとして処理できます。念のため、お住いの自治体のルールをご確認ください。
さらに、水がなくても清潔を保てるよう、ウェットティッシュ、消毒スプレーなどの衛生用品も忘れずに用意しましょう。
停電時に有効なアイテムとしては、懐中電灯やLEDランタン、スマートフォンやラジオを充電するためのモバイルバッテリー、そして予備の乾電池などが挙げられます。LEDランタンには、モバイルバッテリーとして使えるタイプもあります。
また、近年注目されているポータブル電源は、室内で安全に利用することができて、メンテナンスも容易なため、非常時の給電手段として有効です。ソーラーパネルと組み合わせることで、継続的な給電も可能となりお勧めです。
猛暑時の停電における熱中症対策と防災グッズ

夏季の台風により停電が発生した場合、熱中症発症のリスクが著しく高まります。ご家族の健康を守るためには、十分な備えと適切な対処法を知っておくことが重要です。
体温を下げるための保冷剤や冷却タオルといった冷却グッズを多めに用意してください。保冷剤や冷却タオルを、首筋やわきの下など太い血管が通る部分に適用することで、効率的に体温を下げることが期待できます。
ポータブル電源が利用可能な場合は、扇風機を稼働させることができます。保冷剤を扇風機の背面に設置することで、冷気を含んだ風が供給され、体感温度を下げることが期待できます。
また、服装も重要です。リネン素材や吸水速乾、接触冷感性など、通気性や速乾性、快適性に優れた素材を選ぶとよいでしょう。
熱中症予防の基本である、こまめな水分・塩分補給にも注意してください。水やスポーツドリンク、経口補水液、塩タブレットなどは多めに備蓄しておくことをお勧めします。喉の渇きを感じていなくても意識的に水分を摂り、特にたくさんの汗をかいたときには、失われた塩分をしっかり補給することも大切です。
なかでも、体温調節機能が十分に発達していない小さなお子さんや、対応調整機能が低下している高齢者は、特に熱中症発症リスクが高いとされています。ご家族は室温や体調をこまめに確認し、適切な対応をとる必要があります。
犬や猫などのペットについても、呼吸が荒い、よだれが多い、ぐったりしているといった異変が見られる場合は、速やかに涼しい場所で休ませるなど、適切な処置を講じてください。
情報収集と連絡手段の確保

平時からの情報収集を習慣化されることをお勧めします。気象庁が発表する「台風情報」「警報・注意報」や「熱中症警戒アラート」を日常的にチェックし、危険度が高いとされる日には特に念入りに確認するといざというときに落ち着いて情報を収集することができます。停電時に台風情報を入手しやすいのは、やはりラジオです。手回し充電やソーラー充電が可能なタイプであれば、電池が不要なため、一家に一台ご準備されると安心です。
また、自治体の防災アプリや民間のアプリケーションをスマートフォンにインストールし、ご自宅の情報を登録すると、災害アラートをプッシュ通知で受け取ることができます。なお、災害時はスマートフォンのバッテリーを節約するため、節電モードに設定しておくことをおすすめします。
また、万が一に備えて、ご家族間での連絡方法や安否確認の方法を事前に話し合っておくことも大切です。災害用伝言ダイヤルの活用も選択肢となるでしょう。
マンションでは住民間の助け合いも重要です。管理組合や自治会による防災マニュアルの共有や災害時における連絡体制の構築についても検討してみてください。
家具・窓まわりの安全対策

台風の際の安全対策として、雨風が給気口から吹き込むほど風が強いときは換気扇を停止し、給気口を閉じて雨風の室内への侵入を防ぎましょう。
窓や網戸は確実に閉め、クレセント錠(窓やサッシに使用される半月状のカギ)をかけておくことが重要です。
万一強い風が吹き込んできても事故が起こらないよう、室内のドアは閉めるかドアストッパーなどで固定しておくようおすすめします。
台風と猛暑が同時に発生するリスクが高まり、各ご家庭での備えがこれまで以上に重要になっています。
今回のマンションでの台風対策の室内対策編はいかがでしたか?マンションは「在宅避難」が推奨されているため、台風で停電や断水が発生した場合でも、不安なく過ごせるよう、日頃からの備えが特に大切です。「備えあれば憂いなし」という言葉のとおり、来る台風シーズンの到来に備えを徹底し、ご家族が安心して過ごせる住環境を目指しましょう!
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■この記事のライター
□熊谷皇(くまがいこう)
国立大学法人 鹿児島大学院工学研究科建築学専攻終了。専門は建築環境工学(温熱環境、省エネルギー)。国土交通省住宅の省エネ基準検討WG委員、日本産業規格JIS A 9521(2017)技術コンサル、建築環境省エネルギー機構(IBEC)・日本建築センター(BCJ)・職業能力開発総合大学校の講師を歴任。日本建築ドローン協会(JADA)WG委員。
(2025年8月25日新規掲載)
*本記事は掲載時の内容であり、現在とは内容が異なる場合ありますので予めご了承下さい。