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ベランダでアジサイを育てよう! 初心者でもできる夏のお手入れ方法は? 〜マンションで楽しめるベランダ・室内ガーデニング〜

あじさい

マンションでも手軽に始められるベランダガーデニング。このシリーズでは、マンションライフを彩る植物に関する情報をお届けします。今回は、梅雨時期の花として知られる“アジサイ”に注目。特に「花が終わってからが勝負」と言われる夏のお手入れ方法と、小さなお子さんを持つご家庭なら知っておいていただきたい、アジサイの食中毒についても詳しく解説します。

☆マンションでベランダガーデニングを始める前のチェックポイント
・ベランダは共用部!:マンションのベランダは火災などの緊急時に避難経路となる「共用部」です。避難の妨げにならないようにしましょう!
・大規模修繕に備えて:大規模修繕工事の際は、ベランダの植物や物を全て撤去する必要があります。片付けが大変にならないよう、無理のない範囲で楽しみましょう!
※より詳しい内容はこちらの記事を参照ください。
⇒「ベランダガーデニングをマンションで楽しむ秘訣と諸注意

目次
1. アジサイの夏のお手入れ なぜ大切なの?
2. 知っておきたいアジサイの基本:大きさや種類について
3. 失敗しないアジサイの剪定:タイプによる違い
4. ベランダでアジサイを上手に栽培するコツ

アジサイの夏のお手入れ なぜ大切なの?

雨の季節に映えるアジサイは、私たちにとって身近な花のひとつです。母の日や父の日にプレゼントしたりすることもあるかもしれません。しかし、実はアジサイは「花が終わってからが勝負」ということをご存じでしたか。
この記事では、マンションのベランダでコンパクトにアジサイを育てながら、来年もたくさんの花を咲かせるための「夏のお手入れ方法」を、アジサイの種類別に分かりやすくご紹介します。

知っておきたいアジサイの基本:大きさや種類について

アジサイはアジサイ科アジサイ属の花木です。漢字では「紫陽花」と書き、英語では「ハイドランジア」と言います。落葉樹なので、冬には葉が落ちて枝だけになりますが、春にはまた葉が生えて花を咲かせます。大切に育てれば、何十年も楽しめる植物なので、年間を通して適切にお手入れをしてあげましょう。

・アジサイの大きさは?
アジサイは本来、人の背丈ほどに育つ植物です。しかし、マンションのベランダで鉢植えとして育てる場合は、剪定で100cm以内のコンパクトなサイズに抑えることがお勧めです。
ただし、小さく切りすぎると翌年花が咲かなくなってしまうこともあるので、花の付き具合を考慮しながら、できるだけコンパクトに剪定することを目指しましょう。

・アジサイの種類
最近では、園芸店で多種多様なアジサイを見かけるようになりました。例えば、「ガクアジサイ」「てまり咲き」「ピラミッド型」などがありますが、剪定の方法という点では、以下の2つのタイプに分類されます。

1. ホンアジサイタイプ(旧枝咲き)
一般的なアジサイの多くがこのタイプです。例えば、「ガクアジサイ」「山アジサイ」「西洋アジサイ」「柏葉アジサイ」がこれにあたります。園芸用語で「旧枝咲き」と言われる、前年に伸びた枝に花芽をつけるのが特徴です。そのため、枝を短く切りすぎてしまうと、翌年花が咲かないという失敗が起こりやすいので、剪定には注意が必要です。

2. アナベルタイプ(新枝咲き)
アメリカアジサイの代表的な種類です。「西洋アジサイ(ホンアジサイの一種)」と名前が似ているので、混同しないようにしましょう。このタイプは、園芸用語で「新枝咲き」と言われ、その年に新しく伸びた枝に花芽をつけるのが特徴です。そのため、深く考えず大胆に剪定できるので、ガーデニング初心者の方にもおすすめです。

失敗しないアジサイの剪定:タイプによる違い

先ほど説明したように、アジサイは剪定の面で「ホンアジサイタイプ」と「アナベルタイプ」の2つに分けられます。この章では、それぞれのタイプで剪定方法がどう違うのか、具体的なポイントを詳しく説明します。

・ホンアジサイタイプ(旧枝咲き)の剪定
花芽が作られる時期:9〜10月
剪定時期:7月〜8月、冬

ホンアジサイタイプの剪定に最も適しているのは、花が終わって枯れてきた7月中旬です。8月までならまだ間に合いますが、このタイプは昨年に伸びた枝に花芽をつけるため、剪定する時期や切る場所を間違えてしまうと、翌年花が咲かなくなってしまうので注意が必要です。
もし、剪定が8月下旬ぎりぎりになってしまった場合、比較的自由に切れる7月中旬と比べて、切る位置が限られてしまいます。

<切る高さの目安>
一般的には「花から数えて3節目で切る」と言われますが、ベランダでアジサイを育てる場合は、その通りにすると背が高くなりすぎてしまう可能性があります。
大きくしたくない場合は、枝を下から見ていき、葉の付け根にしっかりした側芽がついているところで切るようにしましょう。
どの枝も同じくらいの高さで切ることで、一部の枝だけが伸びて、他の枝が弱ってしまう「頂芽優勢(ちょうがゆうせい)」という現象を防ぐことができます。

<切る場所のポイント>
側芽から2cmほど上を剪定ばさみで切ります。その際、切り口を斜めにカットすると、雨水がたまりにくくなり、腐敗を防ぐことができます。

<剪定が遅れてしまったら?>
もし剪定時期が8月中旬以降になってしまった場合は、地植えと同じく「花から数えて3節目」で切ります。時期が遅いと、小さい芽が育ちにくい可能性があるため、上の方についている大きな芽を育てる方が安全です。ベランダでアジサイを育てる場合は、なるべく低い位置で切りたいところですが、コンパクトに仕立てるのは翌年の課題とし、まずは7月中旬に剪定を終えるように計画しましょう。

・アナベルタイプ(新枝咲き)の剪定
花芽が作られる時期: 4月〜5月
剪定時期:7月〜翌3月

アナベルタイプは、北米原産のアメリカノリノキが元になっています。白やピンクの花が一般的なアナベルの他に、赤、ピンク、白、緑などの花があるノリウツギもこのタイプに含まれます。ホンアイジサイタイプとは花芽ができる時期が異なり、開花の約2カ月前に花芽ができるため、冬までなら多少アバウトに切っても翌年花が咲くので、ガーデニング初心者にもおすすめです。

<夏剪定のポイント>
切り花やドライフラワーで楽しむために6月中に花をカットすると、約1ヵ月半後に2番花が咲くこともあるのが、「新枝咲き」のメリットです。この場合は、枝の半分ほどの高さで切り戻します。
剪定の本格的な時期は冬ですが、夏に花が枯れて見栄えが悪くなったら、株全体の半分くらいの高さで切ると、すっきりします。

<冬剪定のポイント>
古い枝には花が咲かないので、太い枝は地表から2〜3節残して、思い切ってばっさりと剪定しましょう。細い枝は5cmくらいのところで切り戻します。もし3月中旬に冬剪定が終わらなかった場合は、そのまま切らずに花を咲かせてください。6月には花が咲き始めるので、咲いた後にカットするようにしましょう。

ベランダでアジサイを上手に栽培するコツ

最近の空梅雨や猛暑の影響で、アジサイは早い時期から枯れたようになってしまい、きれいに咲きにくくなってきています。アジサイは乾燥を嫌う植物です。特にベランダでの鉢栽培は、地植えよりも水の管理が難しくなります。花が枯れてしまわないよう、しっかり水やりをしてくださいね。

・アジサイに適した環境
アジサイは日陰のイメージがありますが、実は日当たりを好む植物です。1日4〜6時間程度、日に当たる場所で育てましょう。ただし、秋になるまでは夏の強い直射日光や西日は避けて、日陰に移動して育てるのがお勧めです。室内では栽培しないようにしてください。

・水やりのコツ
鉢の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出るまでた っぷりと水やりしましょう。ベランダ栽培は特に水切れしやすいので、夏は朝晩2回水やりをしてください。

・肥料の与え方
成長が始まる前の3月に、油粕や化成肥料を散布しましょう。3月〜5月の成長期には、規定量に薄めた液体肥料を2週間に1回程度与えてください。花が後わった後の「お礼肥(油粕や置き型化成肥料)」は、酷暑なら無理に与えなくて大丈夫です。暑い時期に肥料を与えると、かえって根を傷めてしまう可能性があるので注意しましょう。

・病害虫対策
アジサイにつきやすい害虫には、アブラムシ、ハダニ、カイガラムシ、エカキムシ、アオバハゴロモなどがあります。また、かかりやすい病気は、うどんこ病や炭疽病です。初期段階であれば、重曹やお酢を薄めたスプレーで対処できますが、症状がひどい場合は、適切な殺虫殺菌剤を使って対処しましょう。

【ご注意ください。】アジサイの食中毒 絶対に食べないで!
アジサイを剪定すると、みずみずしい葉っぱがもったいなく感じて、「食べられないかな?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。しかし、アジサイは絶対に食べないでください。アジサイは毒性があり、食中毒事故が毎年のように報告されています。

中毒症状としては、嘔吐、めまい、顔面紅潮などがあります。その毒の成分は、いまだはっきりとわかっていませんが、青酸ともアルカロイドとも言われています。アジサイを食べるのはもちろんのこと、食器代わりに使うのも絶対にやめてください。小さなお子さんがいるご家庭では特に注意が必要です。

今回の記事では、マンションでアジサイを育てる際の夏のお手入れ方法や、気をつけたい食中毒の注意点について詳しくご紹介しました。アジサイは、適切にお手入れをすれば、翌年も美しい花を咲かせてくれます。マンションのベランダを彩るアジサイで、季節の移ろいを感じてみてはいかがでしょうか?

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■この記事のライター
□熊谷皇(くまがいこう)
国立大学法人 鹿児島大学院工学研究科建築学専攻終了。専門は建築環境工学(温熱環境、省エネルギー)。国土交通省住宅の省エネ基準検討WG委員、日本産業規格JIS A 9521(2017)技術コンサル、建築環境省エネルギー機構(IBEC)・日本建築センター(BCJ)・職業能力開発総合大学校の講師を歴任。日本建築ドローン協会(JADA)WG委員。

(2025年8月18日新規掲載)
*本記事は掲載時の内容であり、現在とは内容が異なる場合ありますので予めご了承下さい。

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