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バラの基本的な育て方 〜マンションで楽しめるベランダ・室内ガーデニング〜

バラ

マンションでベランダガーデニングを楽しむために、おすすめの花を紹介するシリーズです。バラの特徴や花言葉、基本的な育て方を、初心者にも分かりやすく紹介していきます。

☆マンションでベランダガーデニングをするときの注意点
・マンションのベランダはあくまで「共用部」であることを忘れずに!
・大規模修繕工事の際はすべてを撤去する必要があるため、片付けが嫌な方は小規模なものにとどめておきましょう。
※詳しくは下記の記事も参照
⇒「ベランダガーデニングをマンションで楽しむ秘訣と諸注意

目次
1. バラとは
2. バラの花言葉
3. バラの育て方

バラとは

バラ(薔薇)は気品ある華美な花で「花の女王」と呼ばれています。知らない人はいないのでは?と思うほどメジャーな花ですが、実は草花ではなく「樹木」に分類されています。バラは桜や梅の仲間で、バラ科の落葉低木(一部、常緑もあり)となります。

・特徴
バラの種類は約2万ともいわれ、樹形、香り、生産ブランドなどで種類分けされます。芳醇な香りを持ち、花弁はゴージャスな八重咲きが主流ですが、シンプルな一重咲きや半八重咲きもあります。一般的には茎には鋭いとげがあり、背丈は10cmほどの小型から10mになる種類もあります。

【樹形】…ハイブリッドティ(木立性)、シュラブ(半つる性)、クライミング(つる性)、フロリバンダ(中輪房咲き)、ミニチュア(小輪矮性)など。
【香り】…ダマスク・クラシック、ダマスク・モダン、スパイシー、ティー、フルーティ、ブルー、ミルラなど
【ブランド】…デビッドオースチン(イギリス)、デルバール(フランス)、ギヨー(フランス)、タンタウ(ドイツ)、ロサオリエンティス(日本)など。

・開花時期
開花の時期は、主に5〜6月ですが、モッコウバラや、ハウス栽培用の株は4月頃から咲いています。開花の時期は品種によって異なり、春のみに咲く「一季咲き」や、春と秋に咲く「返り咲き」、春から秋まで数回咲く「四季咲き」があります。

・植え付け
夏を除けばいつでもできます。新苗(若い苗木)は春に販売される4〜6月、大苗(一年以上育った大株)は花が落葉した晩秋〜3月がおすすめです。鉢は購入時のプラ鉢より二回り大きいものを用意してください。

●ローマ時代からガーデニングで根強い人気のバラ。品種改良でバリエーションも豊富!

バラ

バラは、古い文献だと紀元前5000年頃から観賞用に栽培されてきた植物です。園芸としては約2千年前のローマ帝国時代。歴史の上では暴君とされいる第5代の皇帝だったネロは、特に熱狂的なバラマニアだったそうです。あちこちにバラを飾り立てたネロのマニアぶりは、バラの普及に貢献したともいわれています。

紀元前の野生種から、オールドローズ、モダンローズと変遷し、品種改良も進んだ現代では、四季咲きでゴージャスな花、そして耐病性に優れた品種が人気です。
ベランダガーでニングでは大きくなりにくい系統や耐陰性が高い品種、日本の気候に合ったものを選ぶと良いでしょう。

バラの花言葉

バラの花束は贈り物や愛を告白する場面などでよく利用されます。ちなみに色や本数で意味が違うので失敗しないよう、プレゼントする際にはよく調べてから選んでくださいね。

【色】…赤は「愛情」、白は「純潔」、ピンクは「上品」などの良い意味ですが、黄色だけは要注意。「献身」「友情」のほかに「嫉妬」という意味があります。
【本数】…1本は「あなたに一目ぼれ」、3本は「愛しています」、12本(1ダース)は「ダズンローズ」と呼ばれ、「私の妻になってください」というプロポーズの意味があるそうです。

バラの育て方

バラ

一昔前のヨーロッパ産は日本の気候にあまり合わない品種が多かったため、うまく育たないので苦手意識をお持ちの方もいるかもしれません。今は国産のバラも改良され、かなり育てやすくなりました。この機会にベランダでバラの鉢栽培にチャレンジしてはいかがでしょうか。

・適している環境
バラは日光を好むため、一日最低4時間は日が当たり、風通しの良い場所が適しています。
ベランダガーデニングでは、日照時間のクリアが難しい場合もありますので、なるべく耐陰性のある種類を選び、樹勢の弱いものは避け、元気な大苗を購入してください。また、真夏の西日は強すぎて葉焼けを起こすので、日よけなどで遮る工夫をしましょう。

・ベランダでの育て方
バラは、同じ土を繰り返し使うとうまく育たなくなる「忌地(いやち)現象」を起こしがちです。鉢栽培で育てる際は土を毎年新しくして植え替えてください。専門知識のない初心者が用土をブレンドするのは難しいので、市販の「バラ専用培養土」を利用すると便利です。

・水やり
鉢植えの場合で真冬以外は、用土が乾いたら鉢底から流れるくらい、たっぷりと水を与えます。春の強風や日照りの時など、乾燥しやすい季節は毎日水やりを行ってもかまいません。バラの葉が茶色くなって落ちた場合、まず病気よりも水切れを疑うとよいでしょう。つぼみを持っている春先は、特に水切れに気を付ける必要があります。

・肥料
「肥料食い」と言われるバラにとって施肥は大切な作業です。植え付け時は用土に元肥を施し、4月上旬と花後の6月には緩効性の固形肥料を追肥します。四季咲きや返り咲きの品種には9月にも追肥を行いましょう。春から秋の成長期には週に1回、水やり代わりに液体肥料を与えます。なお、冬の寒肥は庭植えのみで行い、鉢栽培では行いません。

・育て方のポイント
バラ栽培で大切な3つのポイントは「日照」「肥料」そして「剪定」です。

剪定は3月の「芽欠き」、5月の「摘心」、12〜2月の「冬剪定」とありますが、必須ともいえるのは「冬剪定」です。落葉して休眠中の冬なら強剪定にも耐えるので、あまり大きくしたくないベランダガーでニングでは、年に一度の欠かせない一大イベントとなります。よく切れる剪定ばさみを準備し、どういう樹形にしたいのか、早めに計画を立てましょう。

・病害虫対策
バラに病害虫はつきものです。晩秋までは農薬散布か手で取り、定期的に防除を行います。主な害虫はアブラムシ、バラゾウムシ、チュウレンジハバチの幼虫、ネキリムシ、カイガラムシなどです。主な病気は、うどん粉病、黒点病など。病害虫には市販の殺菌殺虫剤が効果的です。なお、ベランダガーデニングでガンシュ病※が見つかったら、二次被害を避けるためにも早急に処分することをおすすめします。
※ガンシュ病:細菌によって起こり、被害部に特徴のある大きなこぶをつくる植物の病気。

ベランダはスペースが限られていて日照も確保しにくいので、バラを購入する際は品種選びに気を付けましょう。年に一度、見事に咲き誇り散ってゆく「一季咲き」も魅力的ですが、年に何度か咲く「返り咲き」や「四季咲き」もベランダガーデンには向いているので、単一ではなく、いろいろな種類のバラを揃えるのも楽しいかもしれません。バラの香りが漂うエレガントなベランダを目指してみてはいかでしょうか。

■あわせてお読みください。
・マリーゴールドの育て方 〜マンションで楽しめるベランダ・室内ガーデニング〜
・カーネーションの育て方 〜マンションで楽しめるベランダ・室内ガーデニング〜
・ポインセチアの育て方 〜マンションで楽しめるベランダ・室内ガーデニング〜
・ハイビスカスの育て方 〜マンションで楽しめるベランダ・室内ガーデニング〜
・クリスマスローズの育て方 〜マンションで楽しめるベランダ・室内ガーデニング〜


■この記事のライター
熊谷 皇
国立大学法人 鹿児島大学院工学研究科建築学専攻終了。専門は建築環境工学(温熱環境、省エネ等)。国土交通省 住宅の省エネ基準検討WGの委員、日本産業規格JIS A 9521(2017)改正の技術コンサルタント、建築環境省エネルギー機構(IBEC)・日本建築センター(BCJ)・職業能力開発総合大学校等の講習会の講師、日本建築ドローン協会(JADA)のWGの委員等を歴任。

(2024年5月20日新規掲載)
※本記事は掲載時の内容であり、現在とは内容が異なる場合ありますので予めご了承下さい。

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