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伝統からデジタル技術やサステナビリティへ 最新マンションの建築技術とは

マンションの建築技術は日々進化を続け、伝統的手法からデジタル技術やサステナビリティを重視する方向へシフトしています。今回は、最新の建築技術、スマートビルディング、省エネルギー設計などの動向を紹介しながら、2025年の新築マンションの主要トレンドを解説します。
目次
1. 環境配慮設計が標準化! 最新マンションに見るサステナブル建築
2. 最新デジタル技術「IoT」住宅×AI導入による近未来型最新マンションとは
3. 環境問題に取り組む最新省エネ住宅3つのメリット
環境配慮設計が標準化! 最新マンションに見るサステナブル建築

近年、不動産の分野では「サステナビリティ」という言葉が当たり前のように使われるようになりました。これは自然環境と社会、経済のバランスを維持しながら持続的な発展を目指すことを意味しており、特に新築マンションでは環境に配慮した設計が標準となりつつあります。
日本では、産業部門の二酸化炭素排出量の約2%が建設機械からのものです。また、産業廃棄物の約20%が建設廃棄物です。この数字からも、建設業界が環境負荷抑制を推進すべき重要な立場にあることがわかるでしょう。
先進国の多くは、これまで大量生産・大量消費によって経済発展を遂げてきました。しかし、そのような時代はすでに終わり、今日は住宅建設においても環境負荷を最小限に抑える取り組みが不可欠です。環境保全は世界共通の課題となり、企業にとってはイメージアップというよりも「考慮すべき責務」という時代が到来したといえます。
さらに、SDGsが社会に浸透するにつれ消費者の環境への意識が高まり、環境配慮型マンションへの需要は急速に拡大しています。そのような中、注目されているのが「ZEH-M(ゼッチ・マンション)」です。
これはNet Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)のマンション版で、高断熱化や高効率設備の導入、太陽光発電などの再生可能エネルギーの活用により、自然界から直接得られる石油や石炭などの一次エネルギーの年間消費量を実質ゼロにすることを目指すものです。
最新のZEH-Mでは、すべての照明にLEDを採用し、各住戸には高効率給湯器や節水型設備を標準装備しています。さらに、屋上や外壁に太陽光パネルを設置するなど、エネルギー自給率の向上にも取り組んでいます。ZEH-Mは、環境負荷の少ない持続可能な社会の実現に貢献することが期待されますが、一方で入居者にとって光熱費削減という直接的なメリットをもたらす可能性もあり、マンション購入を検討している人にとって有力な選択肢となるでしょう。
最新デジタル技術「IoT」住宅×AI導入による近未来型最新マンションとは

私たちの生活環境はテクノロジーの進化とともに劇的に変化しており、特に注目すべきは最新マンションにおける「IoT(モノのインターネット)」とAIの融合です。
IoT技術を導入したマンションでは、さまざまな家電や設備がインターネットを通じて連携し、住環境を最適化します。外出先からスマートフォン一つで室温調整が可能になるほか、ロボット掃除機による清掃、空気清浄機や加湿器の作動、炊飯器での調理開始など、帰宅前に快適な室内環境を整えたり食事の準備を始めたりできるのです。
室内で過ごす時間も、AIアシスタントを利用すれば音声だけで照明やエアコン、エンターテイメント機器を操作できて、手がふさがっているときや移動が困難な方にとって大きな助けとなります。AIの学習機能により、「おはよう」と声をかけるだけでカーテンを開け、照明を点灯させ、パンを焼き、コーヒーを淹れることも可能です。
また、顔認証や指紋認証によるスマートロック、不審者を検知するAIカメラなど、セキュリティ面でも大きく進化しています。外出中も室内の様子をスマートフォンで確認できて、不審な動きがあれば即座に通知されるため、安心感が格段に向上するでしょう。
IoTとAIを駆使した近未来型マンションは、「住まい」の枠を超え、私たちの生活をサポートする「パートナー」へと進化しているのです。
環境問題に取り組む最新省エネ住宅3つのメリット

私たちが省エネ住宅に住んでメリットを実感できるのは、光熱費の大幅な削減でしょう。
高性能な断熱材や複層ガラスによって冷暖房効率の向上が見込めるほか、太陽光発電と蓄電池の連携、電気料金が安い時間帯に自動で充電するシステムなどの設置も、家計に優しい住まいの実現につながります。初期投資は必要ですが、長期的に見ればプラスが大きいといえそうです。
また、省エネ住宅は「節約できる家」というだけではありません。
高い断熱性能により室内の温度を一定に保ちやすくなるため、冬の寒さや夏の暑さから居住者を守り、ヒートショックのリスク低減など、健康面のメリットも期待できます。
さらに、省エネ住宅によるエネルギー消費量の削減は、地球環境に深刻な影響を与える二酸化炭素排出量の抑制に直結し、気候変動対策にも寄与します。このように、省エネ住宅は個人の生活を豊かにするだけでなく、持続可能な社会を次世代へ引き継ぐための重要な選択肢となっているのです。
省エネ住宅では、単に光熱費を削減できるだけでなく、断熱性能や換気システムの高度化により快適な室内環境が維持され、健康面にもプラスとなるでしょう。また、エネルギー消費量の削減は二酸化炭素排出量の抑制につながり、一人ひとりが環境問題の解決に貢献するための手段にもなります。
国や地方自治体では省エネ住宅への改修や新築に対して補助金制度を設けており、環境に優しい住まいづくりを考える人に向けた支援策も充実してきています。
最新技術を駆使した省エネ住宅にますます注目が集まりそうです。
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・未来の生活を先取り! IoTマンションはどこが便利? 現在の自宅をIoT化する方法も
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■この記事のライター
□吉田 秀樹
建装工業株式会社 MR業務推進部 統括部長
愛知県出身 職能能力開発総合大学校(当時:相模原市)卒業
マンション管理士・一級建築施工管理技士・マンション維持修繕技術者を有し、大規模修繕工事の営業に従事した経験者
※建装工業株式会社公式HPはこちら
(2025年6月9日新規掲載)
*本記事は掲載時の内容であり、現在とは内容が異なる場合ありますので予めご了承下さい。