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後付け可能? ディスポーザーにガス乾燥機に浴室暖房。マンションに便利なあの設備

マンション 設備

近年、快適な生活をサポートする設備の進化は目覚ましく、特にディスポーザーや浴室暖房乾燥機などは人気が高まっています。既存マンションに新しい設備を取り入れたいと考えている方もいるかもしれませんが、後付けが難しい場合や、マンションならではの注意事項もあります。今回は、既存のマンションに設置可能な人気の設備について紹介します。

目次
1. マンションライフを快適にする、人気の設備は何?
2. 条件次第で後付け設置が可能な設備
3. 後付けは難しい? ガス乾燥機にディスポーザー、人気の家事負担軽減設備の導入

マンションライフを快適にする、人気の設備は何?

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マンションにおいて、満足度が高い設備には次のようなものがあります。

・床暖房
・浴室暖房乾燥機
・インターネット設備
・カメラ付きインターホン
・ディスポーザー
・追いだき機能付きガスふろ給湯器
・食器洗浄機

これらの設備を導入しやすいのは分譲マンションです。賃貸マンションの場合は退去時に「原状回復」が求められるため、工事が必要な床暖房や浴室暖房乾燥機を導入することはできませんが、工事を伴わないタンク式食器洗浄機などは導入可能です。それに対して、分譲マンションでは、床暖房や浴室暖房乾燥機など工事が必要な設備も導入することができます。賃貸マンションに比べると分譲マンションの方が、設置可能な設備が多く、選択肢も広くなります。

条件次第で後付け設置が可能な設備

マンション 設備

設備の後付けの可能性は、間取りや建物の状況、管理規約の条件によって異なります。例えば、電気工事や配管工事が必要な設備は、管理規約によって設置が制限されることが一般的です。

以下は、後付け可能な設備です。

●浴室換気乾燥暖房機(浴室乾燥・浴室暖房)
・設備の概要
悪天候でも洗濯物を乾かすことができる浴室乾燥機は、浴室暖房の機能も持つ便利な設備です。寒い季節は、暖房機能によって浴室内の温度を上げることでシャワーや入浴時の寒さを和らげることができます。また、浴室内の湿気を除去し、カビや結露の発生を防ぎます。

・注意事項
既設の換気扇スペースを利用して設置するため、天井の高さ、換気扇や照明の位置など浴室の構造次第では設置できる機種が限定されたり、設置できなかったりする可能性があります。そのため、換気扇の周囲にスペースがあり、点検口があること、照明設備が換気扇の近くにないこと、換気扇の周囲に凹凸がないことなどがポイントになります。
管理規約で確認するべき内容は、パイプスペースや給湯器についてです。

●床暖房
・設備の概要
床からの放射熱によって部屋を均一に暖める暖房設備です。暖かさは足元から感じられ、頭寒足熱の快適な温熱環境を実現します。放射熱による運転のため、空気を循環させる風の音やポンプの音などがほとんどなく静かです。床下に設置されるため、壁や天井に比べてスペースを取らないことから家具の配置やインテリアデザインの自由度が高まり、また、空気の循環が少なく、アレルゲンとなるホコリや花粉の舞い上がりを抑える効果が期待できます。

・注意事項
管理規約で確認するべき内容は、フローリングの工事についてです。足音は近隣トラブルになりやすく、フローリングの工事については管理規約で定められていることが多いです。遮音等級についても確認しましょう。「床を剥がせない」「フローリングに指定等級がある」などの規定がある場合は床暖房が後付けできないか、もしくはコストが割高となる可能性がありますのでご注意ください。

●追いだき機能付きガスふろ給湯器
・設備の概要
家族がそれぞれのタイミングで入浴したり、半身浴などリラックスしてお風呂に入ったりする場面でも便利な設備が、ガスふろ給湯器の追いだき機能です。ガスふろ給湯器の追いだき機能は、追いだき専用となる配管を使用します。

・注意事項
管理規約で確認するべき内容は、パイプスペースや給湯器の項目についてです。追いだき機能付きのガスふろ給湯器への交換では、給湯器や配管を「追いだき用」に変える必要がありますが、マンションでは給湯器が共用部分のパイプスペースにあることが多く、配管を追加する穴を開けなければなりません。そのため、導入に伴う配管工事の可否は管理規約に従うことになります。

●IHクッキングヒーター
・設備の概要
電気で調理ができるIHクッキングヒーターは、火を使わないため高齢者やお子さんのいる家庭では安心です。キッチンのリフォームと同時に設置するのがおすすめです。

・注意事項
キッチンにIH専用の電源(200V)を確保するため、給電が「単相3線式配線」であること、分電盤の空きが必要です。一般的には、分電盤の交換や専用コンセントの設置といった電気工事、ガス管を止める工事などが必要です。
管理規約で確認するべき内容は、契約容量の変更です。電気容量(アンペア)が足りない場合は契約容量も変更しなければなりませんが、マンションには建物全体の電気容量があり、必然的に「各住戸」の電気の容量も限られてしまうため、管理規約によりIHクッキングヒーターの導入や契約容量の変更を禁止している場合もあります。その場合は200Vのものよりパワーは弱くなりますが、手軽に使える100V据置型のものもあります。

●ビルトイン食器洗浄機
・設備の概要
システムキッチンのキャビネットに設置するビルトイン食器洗浄機は、調理スペースを狭めることなく、食器や調理器具を洗える設備です。家事負担軽減のほか、節水や高温での洗浄で衛生面でも人気の設備です。

・注意事項
ビルトイン食器洗浄機は、設置するためのスペースと電源を確保でき、給排水管を分岐する工事ができれば後付けで設置することができます。管理規約で確認するべき内容は、給排水管を分岐する工事、電源の工事についてです。コンロを置く部分が1段低くなっている「セクショナルキッチン」はスペースの問題で設置は難しい場合が多く、その場合、据置型や、給排水管の分岐工事が不要なタンク式の食器洗浄機も選択肢となります。

●温水洗浄便座
・設備の概要
洋式のトイレでコンセントや既存の便器のサイズの条件がクリアできれば、後付けの設備としては比較的導入しやすい設備です。直接肌に触れる便座を暖めてくれるので寒い冬にも便利です。

・注意事項
トイレにコンセントがない場合、管理規約で確認するべき内容は電気工事についてです。コンセントを新たに設置する電気工事ができるかどうかを確認しましょう。

後付けは難しい? ガス乾燥機にディスポーザー、人気の家事負担軽減設備の導入

●ガス式衣類乾燥機
・設備の概要
濡れた衣類だけでなく靴などの小物も乾燥してくれる便利な設備が衣類乾燥機です。衣類乾燥機はジメジメとした季節の洗濯だけでなく花粉対策にもなります。中でもガス式の衣類乾燥機は、電気式のものと比べてパワフルで乾燥時間が早いという特徴がある、人気の設備です。

・注意事項
ガス式衣類乾燥機は、排気ダクトを外に通す工事が必要で、消防法などの問題も生じるため基本的に後付けが難しい設備です。
その場合は、コンセントがあれば設置できる電気式の衣類乾燥機なら導入しやすいでしょう。乾燥容量が多い据え置き型のほか、排水ホースの取り付けが不要で手軽に設置できる小型の衣類乾燥機もあります。
電気式のものは比較的導入がしやすいですが、アース端子を差し込む場所がない場合、管理規約で確認するべき内容は電気工事についてです。また、排水できることや排気のために壁から離して設置することが必要で、設置場所には十分なスペースを確保しなければなりません。

●ディスポーザー
・設備の概要
マンションの人気設備ランキングでも上位に入るほどのディスポーザー。生ごみを粉砕して排水管に流す特殊な装置のある設備です。

・注意事項
自治体によってはディスポーザーを条例で禁止していたり、設置のための細かい条件があったり、届け出制となっているなどさまざまな制限があるうえ、排水管が共用であるマンションでは後付けできる可能性は低い設備です。
代用として、生ごみ処理機の検討をおすすめします。
生ごみ処理機を購入する場合、管理規約で確認するべき内容は特にありません。自治体によっては購入費用を補助する助成制度があるため、お住まいの自治体に助成制度があるか確認するとよいでしょう。

●カメラ付きインターホン
・設備の概要
防犯面で、設置すると安心な設備のひとつがカメラ付きインターホンです。スマートフォンを使って外出先でカメラを確認したり応対したりできるインターホンや、録画のできるインターホンなども市販されています。

・注意事項
管理規約によりますが、基本的にマンションの場合、玄関の外は共用部分です。どんなインターホンが設置されているかによっても異なりますが、エントランスのオートロックや火災警報器などと連動している場合は、後付けでカメラ付きインターホンを設置できない場合が多いです。連動しているシステムがなく、管理規約の条件がクリアできれば、各住戸ドア横のインターホンなら交換が可能なケースもあります。
また、配線工事が不要のカメラ付きインターホンも市販されているので、簡易的に導入することも可能です。
管理規約で確認するべき内容は、共用部分についてです。インターホンが共用部分・専有部分どちらになっているか、また、交換の可否を確認しましょう。

今回は、近年人気があるディスポーザー等の設備のメリットや、既存のマンションにそれらを設置する際の注意事項について紹介しました。技術の進歩や生活スタイルの変化により、最新の設備には多くの人が魅力を感じるかもしれません。ただし、既存のマンションでは設置ができない場合や、制約を受ける場合もあります。設置が可能な場合でも、設置スペースや建物の構造、管理規約などを十分に確認する必要があります。これらの事柄を十分に確認した上で、時代のアップデートに合せて、便利で快適な最新設備へのアップデートもしたいものです。

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■この記事のライター
熊谷 皇
国立大学法人 鹿児島大学院工学研究科建築学専攻終了。建築環境工学(温熱環境、省エネ等)を専門とする技術者。国土交通省 住宅の省エネ基準検討WGの委員、建築環境省エネルギー機構(IBEC)・日本建築センター(BCJ)・職業能力開発総合大学校等の講習会講師、日本建築ドローン協会(JADA)のWG等の委員を歴任。

(2023年11月6日新規掲載)
※本記事は掲載時の内容であり、現在とは内容が異なる場合ありますので予めご了承下さい。

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