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のぞいてみよう!工事現場紹介 ヴェルタワー下関大規模修繕工事

マンション 大規模修繕

施工中のマンションの工事現場を詳しく紹介するシリーズです。今回は、山口県下関にある「ヴェルタワー下関駅前マリンビュー(通称:ヴェルタワー下関)」というタワーマンションの大規模修繕工事現場所長にインタビューを行いました。
下関は海に面した港町であり、特にフグやアナゴなどの高級食材で知られています。また、下関には下関条約記念館といった歴史的な建造物があり、幕末の薩長同盟締結の地や西南戦争で重要な役割を果たした場所としても有名です。下関市長府には、毛利家の別荘だった「長府庭園」や江戸時代の商家や町家などの歴史的建造物が多く残されており、風情ある雰囲気が漂っています。また、ヴェルタワー下関から海を見渡すとすぐ近くに、佐々木小次郎と宮本武蔵の決戦の地といわれている巌流島を望ことができます。一方で、下関は日本海と瀬戸内海の交差点に位置しており、四季の変化による気圧の変動や海風の影響を受けやすいため、強い海風が吹き込むことでも有名です。
さて、今回はそんな、海と歴史と高級食材の街、下関のマンションの大規模修繕工事現場で所長を務める髙井良さんにお話しを伺いました。

目次
1. 工事現場の概要
2. 自己紹介
3. 今回の工事の特徴を教えてください。
4. 今回の工事現場で意識していることを教えてください。
5. 今回の工事現場で工夫していることを教えてください。
6. 竣工への意気込みをお聞かせください。
7. おわりに

1.工事現場の概要

工事名称 ヴェルタワー下関第一回大規模修繕工事
建物規模 RC造 地上22階建て 住戸99戸
建物所在地 山口県下関市竹崎町4丁目4-2
建物竣工年 2007年2月
工事期間 2023年 2月 20日〜2023年 9月20日
工事内容 躯体補修工事、鉄部・外壁塗装工事、防水工事等
取材日 2023年5月26日
話を聞いた人 髙井良さん(現場所長)
タワーマンション

右側が現場所長の髙井良さん。左側は福元さん。

2.自己紹介

髙井良(たかいら)と申します。現在、この工事の現場所長を務めております。私は建設業界で37年間、現場施工に携わってきました。これまで新築や改築など、さまざまな現場での施工経験があります。私は建装工業において、マンションの大規模修繕工事の現場所長として従事しており、今回が7件目となります。
私の信念であり、好きな言葉は「礼節謙譲の精神」です。この言葉は、経営の偉人である松下幸之助さんが示された心構えの一つです。ですから私は、工事現場においても、居住者・通行人・協力業者も、年下・年上、国籍に関わらず、どの方に対しても、分け隔てなく公平かつ丁寧に接することを常に心掛けています。

タワーマンション

ヴェルタワー下関駅前マリンビューの外観

3.今回の工事の特徴を教えてください。

今回の工事は「ヴェルタワー下関駅前マリンビュー」という22階建ての分譲マンションで行われています。このマンションは関門海峡を一望できる素晴らしいロケーションに位置しています。商業施設は2階まであり、3階以上が住居フロアになっています。周辺には山口県で最も高い建物である「海峡ゆめタワー」がそびえ立ていますが、このマンションは山口県内で最も高い住宅建築物です。

この地域は関門海峡が目の前に広がり、下関の中でも特に強風が吹く地域として知られています。日々風速が測定され、工事にも影響を及ぼすことがあります。風速が10m/sを超えることも頻繁にありますので、今回の工事では強風への対策が非常に重要な課題となっています。

また、建物は駅まで続くペデストリアンデッキと直結しており、非常に便利ですが、建物周辺には居住者だけでなく一般の通行人も多く通行するため、工事の際には居住者のみなさんはもちろん、通行人の方々にもご迷惑をかけないような配慮が必要でした。

タワーマンション

工事中のエントランスは顔認証で入場しセキュリティーを確保

4.今回の工事現場で意識していることを教えてください。

この現場では特に居住者や通行人への声掛けは特に注意しており、現場協力会社にも何度も繰り返し伝えています。その理由の一つは、現場付近に近づく人が居住者なのか通行人なのかを区別しにくいためです。そのため、近くにいらっしゃる方々には、工事によるご迷惑をおかけしていることから、全ての方々に挨拶をするよう心がけています。当然、ヘルメットの着用や挨拶、身だしなみなど、目に見える部分にも十分な注意を払っています。
工事現場の協力会社のメンバーも気持ち良く過ごせるように心がけています。例えば、巡回中に作業員が工具や脚立を丁寧に整頓している場合は、「流石!」と声をかけています。逆に、そうでない場合もあるかもしれませんが、こういった声かけを頻繁に行うことで、些細な行動でも他の人から見られていることを意識してもらいたいのです。

タワーマンション

ゴンドラに一部鋼管足場を併用することで工事を効率化

5.今回の工事現場で工夫していることを教えてください。

先に述べた通り、このマンションは下関の中でも強風が吹く地域に位置しています。そのため、工事において強風対策は非常に重要な課題となりました。検討の結果、ゴンドラと鋼製足場の2種類の足場を同時に採用することにしました。具体的には、建物の一部に地上から22階までの鋼製足場を設置し、ゴンドラと併用しました。これにより、強風時以外はゴンドラを使用して昇降し、強風時には鋼製足場を利用することができるようになりました。この対策により、強風時に作業が中断される日数を減らし、工期の遅延を防止しました。

施工品質の確保のためには、作業に入る前に必ず現場スタッフと共に工事仕様書を確認し、作業のミスがないように注意しています。また、最終的に複数の人による工事仕様書の確認を行うことで、ヒューマンエラーを防ぐようにしています。

また、マンションの改修工事は居住者が住んでいる状態で行われるため、クレームや要望が生じることがあります。そのような場合は、素早く対応することを心掛けています。居住者にとってストレスがかかるのは当然のことであり、時間をかけてしまうと不満が増えてしまいます。そのため、可能な限り迅速に対応することで、居住者と工事スタッフが互いに気持ち良く過ごせるようにしています。ただし、即座な対応が難しい場合は、事情を説明した上で後日、適切な対応を行うようにしています。

タワーマンション

最上階の屋上にて。髙井良さんと福元さん。

6.竣工への意気込みをお聞かせください。

今回、ヴェルタワー下関の改修工事に関わらせていただけることは、大変光栄です。このマンションは下関の象徴的存在であり、お住まいの皆様が末永く安心・安全・快適にお過ごしいただけるよう、丁寧な仕事を心掛け、契約工期を守るよう努めたいと思います。私たち建装工業に工事を任せていただいたことにより、お客様に「正しい選択をした」と感じていただけることが、最終的な目標です。

工事が順調に進み、ひと段落したら、スタッフと一緒に巌流島へ観光に行く予定です。これは私たちのチームの結束を深めるための楽しいイベントです。お客様にお喜びいただける工事を完成させた後の楽しみとして、心待ちにしています。

7.おわりに(ライターより)

今回は、下関にあるタワー型マンションの現場をご紹介しました。マンションの屋上から有名な巌流島を眺めることができ、正直に言って特別な経験でした。海と風、歴史と食材と様々な要素が調和しているこのヴェルタワー下関の工事現場では、現場所長の髙井良さんの信条である「礼節謙譲の精神」が徹底され、協力会社の挨拶も行き届いていました。居住者のみならず通行人もとにかく全ての人に挨拶をするということで雰囲気のよい現場でした。
私たち建装工業では、これまで100件以上のタワーマンションの改修工事を行い、独自のノウハウを構築してきました。今後も、より質の高い工事を通じて、お客様に安心、安全、快適なサービスを提供できるように努力してまいります。

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■この記事のライター
熊谷 皇
国立大学法人 鹿児島大学院工学研究科建築学専攻終了。建築環境工学(温熱環境、省エネ等)を専門とする技術者。国土交通省 住宅の省エネ基準検討WGの委員、建築環境省エネルギー機構(IBEC)・日本建築センター(BCJ)・職業能力開発総合大学校等の講習会講師、日本建築ドローン協会(JADA)のWG等の委員を歴任。

(2023年7月31日新規掲載)
*本記事は掲載時の内容であり、現在とは内容が異なる場合ありますので予めご了承下さい。

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